作品名・作者名 |
あらすじ |
表 紙 |
感想文 |
おすすめ度・評価 |
『指先の音楽』
志賀泉 (筑摩書房) |
幼い日に聾唖の少女が轢死した事故を引きづりながら美大に進学した「僕」は、人差し指のない「らいあ」という女性と出会うことによって、過去の記憶がフラッシュバックする。そして明かされる、「僕」の隠していた真実とは。
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これは第20回太宰治文学賞を選考委員全員一致で受賞した作品である。静かな物語展開の中に、「僕」の心の葛藤や、徐々に明かされる真実に、多少の感情移入はあるものの、それほど心を動かされるような内容ではなかった。
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『11分間』
パウロ・コエーリョ (角川書店) |
ブラジルの田舎町で育った娘が、スイスの町で売春婦として働きながら自分というものを発見していく物語である。セックスを通して新しい世界を発見し、彼女の抱いた本心を日記という形で表出していくのであるが、全体として、重苦しい内容でありながら、彼女の心の変化は非常によく伝わってくる。ただし、ラストのシーンがあまりにもありがちなパターンで終わってしまったのが多少残念であった。途中までは良かっただけに、もう一捻り欲しかった。
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『勉強できる子のママがしていること』
福田秀樹 (PHP文庫) |
教育の世界では有名な著者であるが、書いている内容はそれほど興味を引くものではなかった。さらに、同じことを繰り返し述べているだけで、中身が濃いという印象もなく、無駄に紙幅を費やしているだけに思われた。この手の本は、成功しているからこそ言えるといった内容で、なかなかそれを実践していくのは難しいであろう。
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『子どもが育つ魔法の言葉』
ドロシー・ノー・ワールド (PHP文庫) |
本屋をぶらぶらしていたら、平積みされて文庫本のベストセラーと書いてあり、また子どもの育て方の本であったため、生徒との関係にも参考になるかと思い購入し読んでみたが、正直言ってそれほど感銘を受けることはなかった。彼女が言っていることをすべて子どもに対してできるかと言えば、それはムリなのではないか。おそらく彼女の国と日本との文化の違いもあるのかと思われるが、子どもにはそれなりの厳しさも必要であるように思われた。
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『夜明けまで1マイル』
村山由佳 (集英社文庫) |
あこがれの大学の先生と不倫ではあるが、真剣な恋に落ちるという、まさにメロドラマのような内容であるが、時々このような本もありかなと最近は思っている。いい年をした僕が、こんな青春小説を読むのもどうかとは思うが、個人的には村山由佳の文体というか筆致が好きである。それに中学生くらいにも勧められそうなのでそれもまた良い。とりあえずは、心の休息にどうぞといった内容である。
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『グランドフィナーレ』
阿部和重 (文藝春秋) |
これは第132回芥川賞を授業した作品である。少女偏愛性癖者である主人公を中心とした物語で、徐々にその性癖が二人の女の子との出会いから変化してくるのであるが、何かクライマックスを読者に任せるといった余韻を残すような内容であった。近年の芥川賞授業作品の中では、なかなか読み応えのある作品であったと思われる。
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『対岸の彼女』
角田光代 (文藝春秋) |
これは第132回直木賞受賞作である。近年の芥川・直木賞は、どうも商業主義的傾向が強かったためか、作品の内容よりも作者自身の話題性で受賞が決定していたような雰囲気があったが、この作品は久しぶりに重みのある、これぞ「文学」だといえるような作品であると思われる。その名の通り人生において「対岸」にある女性二人の出会いと決裂、そして再会。その過程において、実は両者は「対岸」ではなく、同じ岸にいるということに徐々に気づいていく。ただあえて言うならば、ラストがあまりに綺麗におさまりすぎている印象を受けた。正直、このラストは途中で予想しできる範囲であり、やっぱりそうなるんだというラストになってしまっていた。
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『ハイデガー』
北川東子 (NHK出版) |
世界的名著と言われる『存在と時間』を記したハイデガーについて書かれた書である。僕たちはなぜ存在するのか。また存在とは何かについて考えた人物であるが、彼によれば、存在とは2種類あり、それは現実存在と存在論的なものであるらしい。普段生活している間は気づくことはないが、言われてみるとなるほどと納得させられることしばしばである。
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『マルクス』
大川正彦 (NHK出版) |
私的所有というものについて非常に深く切り込んだ人物マルクスについて書かれた、いわば入門書的なものである。時代を問わず手本にされることが多い人物であるだけに、僕も以前から興味があったのだが、う〜ん、やっぱり難しかった・・・。結局何を言いたいのか分からずに読み終えてしまった。もう少し勉強してから読み直そうと思う。
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『日本人の禁忌』
新谷尚紀監修 (青春出版社) |
古来より伝わる日本人の禁忌(タブー)の由来と真意について書かれたもので、「見るなの禁」であるとか生活に密着した禁忌について非常に分かりやすく説明されている。ずっと日本で生活していながら意外と気づいていなかったことなどが数多くあり、新しい発見に驚かされることもしばしばであった。楽しみながら常識も学べる書であった。
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