作品名・作者名 |
あらすじ |
表 紙 |
感想文 |
おすすめ度・評価 |
『蛇にピアス』
金原ひとみ (集英社) |
第130回芥川賞を受賞した作品である。正直言ってこの作品を受賞作として選んだ選考委員の気持ちが分からない。現代という「暗」な時代性を描いたものであることは伝わってくるが、それ以上何も心を打つものがない。二十歳前後の女の子がこのような作品を書いたことは評価できたとしても、それイコール芥川賞になるとは思えない。賞に見合った作品がないのであれば、「受賞作なし」と堂々と言ってもらいたい。
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『死刑囚 最後の晩餐』
タイ・トレッドウェル・ミッシェル・バーノン (筑摩書房) |
アメリカには、死刑執行直前の囚人が、最後に食べたいものをリクエストできるとう制度がある。そこで囚人が注文したものを、彼らの犯した罪とともに紹介していったのが本書である。死刑直前のわりには食欲が旺盛であることにも驚かされるが、そのあまりに刹那な犯罪にも少なからず驚かされた。ちなみに日本では前もって死刑執行が言い渡されないので、自分の好きなものをリクエストできる制度はないらしい。
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『ギャオスの話』
町田康 (『文學界』2004年1月号) |
作者はおそらく「ギャオス」という生物に社会批判めいたものを投影しようとしたのであろうが、それはあまりうまく機能していないように思われる。単なる怪獣話になってしまったのが、多少残念である。
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『博士の愛した数式』
小川洋子 (新潮社) |
家政婦として雇われた私は、ある老人の住む家に派遣される。その老人は会うなり靴のサイズを聞く、ちょっと変わり者。しかし老人には大きな障害があった。それは数年前に起きた事故により、記憶障害が起き、80分前までの記憶しか残らないというもの。ただし、1975年以前のことはしっかりと記憶している。その昔彼は数学の博士であったため、家政婦との会話はもっぱら数について。はじめは馴染めない家政婦であったが、徐々に博士の世界に引き込まれ、ルートとあだ名された息子とともに博士との楽しい時間を過ごしていくが、それも時間の流れには勝てなかった……。
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なかなか良い本に出会ったという感じ。子供思いの博士と、それに関わっていく中で徐々に成長していくルートの人間模様がうまく描かれていた。また博士が語る魅力的な数学の話も、物語を越えた美しさを感じることができる。子どもから大人まで感動できる一冊である。
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『その英語、ネイティブにはこう聞こえます』
David A.Theyne・小池信孝 (主婦の友社) |
海外旅行に出かけた時に出くわす、いくつかの場面における、日本人の間違った英語の使い方を指摘したものである。学校英語ばかりやってきた人には、意外に思われることが多い。またPart2に書かれている20の法則も、読んでおくと役に立つ内容であると思う。
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『いまこの瞬間愛しているということ』
辻仁成 (集英社) |
フランスの「三つ星シェフ」を目指している堅物ジェロームのもとに修行にきた日本人女性ハナは、当初なかなかジェロームという人間になじめなかったが、持ち前の明るさで徐々に溶け込み、二人は恋に落ちていく。そして二人とその仲間たちで力を合わせ「三つ星」を目指し様々な困難に立ち向かっていく。そんな矢先、ハナは不治の病にかかってしまう。ジェロームはシェフとしての仕事を、そして愛するハナの看病を続けていくがその結末は…。
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『冷静と情熱のあいだ』など話題作を多く著作している辻仁成書いた長編小説。徐々にというよりは、最初から引き込まれていくストーリーに、時間、そして空間を忘れて入り込める作品であった。特に病にかかった後のジェロームとハナの関係は心打つものがある。悲しい恋の物語でありながら、読後、何か妙な爽快感が漂う内容であった。
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『「新しい人」の方へ』
大江健三郎 (朝日新聞社) |
これは以前に『「自分の木」の下で』という本を出版していて、その第2弾として書かれたものである。以前の本と同様に、大江氏自身の体験を中心に、特に小中学生あたりを対象として、教訓的なことを書いたものであるが、相変わらず読みにくい書き方であると思った。内容は分かりやすいのだが、括弧書きのようなものがちょっと多すぎる気がする。
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『号泣する準備はできていた』
江國香織 (新潮社) |
これは第130回直木賞受賞作である。内容は12の短編小説からなるものであるが、やはりラヴ・ストーリーが中心になっている。ただ僕にとっては、何か物足りない内容であった。それに行間が広すぎるので、値段のわりに内容薄という印象を持った。これが直木賞か…。
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『3日で分かる宗教』
山折哲雄 (ダイアモンド社) |
キリスト教やユダヤ教、イスラム教などの歴史的な話から、現代のあらゆる宗教について解説されている書物である。内容も非常に理解しやすく、様々な宗教戦争がなぜ起きてしまったのかなど、一般人にもよく分かるように書かれている。
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『変身』
カフカ (新潮文庫) |
ある朝目覚めると巨大な毒虫になっていたという、非常に変わった書き出しから、一人称語りと三人称語りをおりまぜ、この異常事態をいたって冷静に、ある意味淡々と物語が進んでいくところが大変面白い。現代実存主義文学の先駆をなす作品と言われているが、それは分からなくとも、ユーモラスな設定でありながら、深刻にそして残酷に展開していく物語は十分楽しめる。
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