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作品名・作者名 あらすじ 表 紙
感想文
おすすめ度・評価
『イン・ザ・プール』
奥田英朗
(文藝春秋)
前回直木賞を受賞した作品『空中ブランコ』を読んで、意外と面白かったのでこれも読んでみた。相変わらず伊良部医師のはちゃめちゃぶりには、笑うことしかできない。文芸作品としての価値を追求することは、この作品にとって無意味であろう。純粋に読者を楽しませるということに関して、この作品は確実に成功を収めたものだと思われる。

80

 
『臨場』
横山秀夫
(光文社)
『半落ち』で一躍有名になった横山秀夫の短編をいくつか収めた書である。内容はすべて倉石ちう検死官の、非常に渋みのある物語を繰り広げるものである。僕は正直、この手の小説を今まであまり読んではこなかったのだが、意外にもその味のある世界に引き込まれてしまった。事件そのものの解決よりも、主人公倉石が語る事件解決へのプロセスに、粗野ながら人情のある言動に共感するところが多々あった。短編でありながら、完結性の高い内容であった。

80

 
『お厚いのがお好き?』

(フジテレビ出版)
これは深夜にテレビで放映されていたものを書籍化したものである。内容は、哲学を中心とした世界の名著を、意外なものと組み合わせて紹介していくというものである。もちろん専門的な部分を求めることはできないが、一般読者としてはなかなか楽しめるものであると思う。

70

 
『孤独か、それに等しいもの』
大崎善生
(角川書店)
これは表題になっている作品を含め、5つの短編小説を集めたものである。内容は、そのどれもが傷ついた過去をひきづりながら、徐々に癒されていくというものである。その一つ一つがそれなりの重たさを持って心に響くものはあるが、ただ作品として目新しい印象は受けない内容であった。

70

 
『いま、会いにゆきます』
市川拓司
(小学館)
亡くなった妻が父子のもとに幽霊になってある期間だけ戻ってくるという非現実的な物語であるが、その非現実的世界を、よりリアルに表現した悲しい感動というものを感じることのできる作品であった。ただ『世界の中心で…』などと同様、最近の流行に乗った内容で、一般読者には受けが良いだろうが、行間の読みを求める読者には多少その浅さが難点であるように思われる。

75

 
『ダヴィンチ・コード』
ダン・ブラウン
(角川書店)
あまり翻訳ものは読まない自分であったが、相当話題になっている本なので読んでみることにした。それほどの期待は持たずに読み始めたが、最初の数ページで一気にその奥深さに引き込まれてしまった。ダヴィンチの絵を中心に、キリスト教の世界など、筆者の綿密な調査の後が伺える、壮大な物語であった。

90

 
『空中ブランコ』
奥田英朗
(文藝春秋)
第131回直木賞受賞作であるが、内容はトンデモ精神科医・伊良部が、はちゃめちゃでありながら、何か人間の心理を付く診断で、心をいやしくていく短編集である。一言で言ってしまえば、娯楽小説であろう。それゆえ行間を読むほどの内容ではないが、これはこれで楽しめるというか、何となく癒される作品であった。

80

 
『アフターダーク』
村上春樹
(講談社)
『海辺のカフカ』以来の長編小説で、相当の期待を持って読んだ。小説の手法は多少カフカにも似たところがあったのだが、内容の深みはあまり感じられない。基本的に彼の文体から来る爽快さは好きなのだが、やはりカフカが完璧だと思った僕にとっては物足りない作品であった。

65

 
『ブラフマンの埋葬』
小川洋子
(新潮社)
『博士の愛した数式』であらゆる賞を受賞した筆者が、書いた最新作であっただけに、相当期待をして読んでみた。しかしながら期待に反して、単調な物語に終始し、結末も何の盛り上がりもないものであった。読後感というものを全く感じることのできない作品で、非常に残念であった。

40

 
『強育論』
宮本哲也
(ディスカヴァー)
これは筆者の経営する塾で行っていることを述べることによって、特に親に対してこうすべきだということを中心に書かれたものである。僕としては、納得できる部分が半分、それは違うでしょという部分が半分でした。まぁー教育に関してはいろいろな考え方があるし、子どもだって十人十色なので、彼の述べることがすべての生徒にあてはまるとは思えない。僕は僕のやり方でこれからも頑張っていきたいと思う。

50