ミツバ岳8 みつばだけ

#293_1902 2019/4/13(土) 権現山 1,019m → ミツバ岳 834m




西丹沢のミツバ岳に登る。ミツバ岳は5時間以内で登れる山。何よりも辛い木段が少ないのがいい。おばさんの散歩道と云われても、身体能力の衰えてきた今の僕にとって、格好の運動になるだろう。ミツバ岳の山頂はミツマタに彩られた山。桜の花が散る頃、ミツマタも終期になる。花の盛りは過ぎていてもかまわないと、御殿場線の谷峨駅前でバスを待つ。満開の桜が咲く谷峨駅。松田駅前始発、西丹沢ビジターセンター行きのバスに乗り込む。満員のバスは今日も立ちんぼ。

歩き始めは細川橋バス停。よく晴れて清々しい朝。上ノ原集落を数分歩くと上ノ原登山口。二本杉峠まで23km、標高差400m。茶畑を通り抜け、大室生神社前を左折する。細川沢に沿う林道から分岐した登山道は暗い杉林に突入する。揺れて危うげな木橋を渡り、鎖に掴まって隘路を通過。激しい水音が聞こえる。左下には細川沢の白い河原。堰堤を高巻いてじぐざぐに上ると、水音はだんだん遠くなってゆく。登路は枝尾根の右側をへつる。右上に屏風岩山の東峰と主峰。

権現山の山頂 二等三角点、山頂標識がある ミツバ岳から見る富士山


二本杉峠。ここまで急登もなく、迷うこともなく、緩やかに上った一本道。右へこぶを巻いて屏風岩山、踏み跡不明との標示。左は権現山11km。峠を乗越せば地蔵平だが、崩落のため標示は欠落している。傍らに「小御岳山大権現」と刻印され小さな石塔。ベンチでひと休みして権現山へ登る。標高差100mを直登する辛い上り。小さなじぐざぐを描きながら息を切らして上る。傾斜が緩んで849m峰。樹相は杉からブナに変わる。前方に権現山が立ちはだかるように聳えている。

厚く積もった落葉の稜線を50m下って鞍部、少々上り返して崩壊地。ここは好展望の地。東に連なる山並は同角山稜。残雪の桧洞丸、同角ノ頭。その奥に塔ノ岳。下方には中川温泉。最低鞍部から標高差200mを上る。稜線に吹き上げる心地いい風。樹間から富士山が覗く。芽吹き未だしのブナ林に名残雪が散見する。権現山。ひっそりした山頂に缶ビールで乾杯する3人組。山頂の南への稜線に二等三角点と山頂標識。立札、「この先踏跡不明瞭 初心者の通行不向き」

ミツバ岳から見る西丹沢の山並 左端に桧洞丸、鋭角の山は同角ノ頭


富士山に向かって権現山の西尾根を下る。右に西丹沢の菰釣山、その奥に道志山塊の御正体山を見る。立木に貼り紙、「ミツバ岳方面、登山道不明瞭 遭難事故多し、通行注意」 8年前のこと、ミツバ岳への分岐を見落とし、西尾根の終端まで降ってしまった。それにしても、遥か下まで幹に結ばれたピンクのリボンが揺れて僕を招いている。興味津津、下り続けたのが運のつき。今ではミツバ岳を示す私製の道標と赤いロープは張られているので分岐を見落としはないだろう。

ミツマタで覆われたミツバ岳の山頂。黄色いミツマタの花は、哀れ白ずんで、もう終期。訪れるハイカーも僅か数組。ミツマタの茶色い樹皮はかつて和紙の原料であったが、今は利用されていないという。小さな黄色い花は集まって、三つに分かれた小枝の先端に咲く。私製の山頂標識の傍らの木に、「大出山」と記された木片が括りつけられている。樹林越しにくっきりと富士山が見える。もう下山のとき。丹沢湖の青い湖面を見ながら、ブナ林から杉林を抜けてじぐざぐに下りてゆく。


快晴 単独行 歩行距離=8.8km 歩行時間=5時間

JR御殿場線、谷峨駅7:46⇒(富士急湘南バス)⇒8:15細川橋

細川橋8:20→9:30二本杉峠9:40→10:45権現山11:05→12:00ミツバ岳12:15→13:20滝壺橋→13:55浅瀬入口→14:05丹沢湖
丹沢湖15:01⇒(富士急湘南バス)⇒15:23JR御殿場線、谷峨駅