#291 2018/11/2(金) 西沢渓谷 1,365m(最高点)
酷暑と豪雨に見舞われた今年の夏。10月も終わる頃、晴れ間が続けば、どれ、山に登ろうか。それにしても鈍った足腰、きつい山は無理。そうだ、秋たけなわの西沢渓谷に行こう。塩山駅から西沢渓谷入口行きのバスに乗る。ほぼ満席。途中の乾徳山登山口バス停で降りたのは二人だけ。収穫の終ったぶどう畑を走り抜けたバスは国道140号線を駆け上がり、広瀬ダムを過ぎて道の駅みとみの先、西沢渓谷入口バス停に到着する。どこもかしこもマイカーで既に満杯の駐車場。
ウイークデーだというのにこの人出、ハイカーに混じってそぞろ歩く観光客。車止めゲート脇をすり抜けて渓谷の右岸を遡る。この界隈は広葉樹の森、ゆえに黄葉の森。秋の陽を浴びてまばゆい黄葉のトンネルを進むこと15分、トイレ棟とコースマップがある。西沢渓谷、ここから一周8kmの表示。甲武信ヶ岳登山口への戸渡尾根コース、近丸新道入口を通過。ヌク沢橋を渡ると林道から登山道に変わる。歩き始めて25分、甲武信ヶ岳登山道の徳ちゃん新道登り口を右に分ける。
七ツ釜五段ノ滝 | 西沢渓谷終点の休憩所 紅葉に見入るハイカー |
廃屋化しつつある西沢山荘を、次いで田部重治文学碑を通過する。東沢出合に架かる吊り橋を渡る。沢の上流を見れば堰堤の遙か先に鷄冠山の頭頂部を望む。吊り橋を渡ると東沢への通行禁止の立て札がある。西沢の水源は国師ヶ岳、東沢は甲武信ヶ岳を源頭とする。鷄冠山登り口の標示があるが、厚く積もった落ち葉に登山道は隠れている。鎖の手すりに縋って長い木段を上る途中に対岸の大久保沢を見る。花崗岩を穿った右手が岩の壁、左下が渓谷の隘路を往く。
三重ノ滝は西沢渓谷の見所のひとつ。左に少し降ると滝見台があるが、幾人もが順番待ちしているので心ならずもパス。飛沫をあげて岩を砕き、コバルトブルーに染まる澱み。高みから流れ落ちる滝、一枚岩を嘗めるように滑り落ちるナメ滝。フグ岩、ウナギ床、人面洞を通過する。滝壺に流れ落ちる竜神の滝を眺め、登山道を更に進むと貞泉の滝。谷側が切り立った険しい桟道を、時には鎖に掴まって進む。大石が積み重なった河原、そこに休む人達。僕も腰を下ろして昼飯休憩。
大展望台から望む甲武信主脈 左から甲武信ヶ岳、十賊山、破風山、雁坂峠 |
対岸の洞穴は母胎淵、口を開けたカエル岩を見ながら進む。渓谷の右岸へ方杖橋を渡る。轟く滝音が聞こえる。谷川が鋭く切れ落ちた急坂を上ると、七ツ釜五段ノ滝の下部を望む。白い飛沫をあげてコバルトブルーの釜に落下する滝。落差は凡そ50メートル、西沢渓谷最大の滝。日本の滝百選の名瀑。更に急坂を上れば不動ノ滝が見えてくる。右岸の高みに廃屋となった不動滝小屋を見る。これで西沢渓谷探勝は終る。あと100mの標示を見ながら右手の濡れた木段を上る。
木段を上りきって軌道敷跡。ここが西沢渓谷の終点。トイレ棟と2箇所にベンチがある。疲れたのかじっと黙して休む大勢のハイカー。軌道敷の先は国師ヶ岳、緩やかに坂を上れば黒金山分岐。満杯のベンチに座るところもなく軌道敷跡を辿って帰路につく。この軌道敷は三富軌道と呼ばれ、主に県有林の木材をトロッコで運搬したという。花崗岩砂に埋もれて、ところどころにレールが露出する黄葉の遊歩道。大久保沢を渡り大展望台から甲武信ヶ岳主脈を遠望して帰路につく。
快晴 日帰り 単独行 歩行距離=8.6km 歩行時間=3時間25分
JR中央線、塩山駅9:05⇒(山梨交通)⇒10:05西沢渓谷入口
西沢渓谷入口10:10→10:25ネトリ沢橋→10:35西沢山荘→10:40二股吊り橋→10:55三重ノ滝→11:15竜神ノ滝→11:35(休憩)11:50→12:10七ツ釜五段ノ滝12:15→12:25西沢渓谷終点12:35→12:55大展望台13:00→13:05大久保沢→13:40ネトリ大橋→14:05西沢渓谷入口
西沢渓谷入口14:40⇒(山梨交通)⇒15:40塩山駅