水晶沢ノ頭2 (すいしょうさわのあたま)
#282 2017/5/19(金)
水晶沢ノ頭 1,278m→シャガクチ丸 1,191m→バン木ノ頭 1,180→モロクボ沢ノ頭 1,149m→畦ヶ丸 1,293m
白く清楚に咲くシロヤシオと、赤紫色のトウゴクミツバツツジが、鮮やかに山を飾る西丹沢の山がある。桧洞丸。名前のとおり、シロヤシオは5枚の葉がついた枝先に白い5弁の花が咲く。トウゴクミツバツツジの葉は3枚。だからこの時期桧洞丸は大賑わい。といってもシロヤシオは桧洞丸だけの専売特許ではない。白石沢を隔てた畦ヶ丸もそのひとつだがさほど人気はない。今日は白石峠から畦ヶ丸を巡る周回コースを歩く。案じたとおり、シロヤシオの盛りは1週間ほど早かった。
5月なのに連日夏のような暑さが続く。JR御殿場線の谷峨駅で西丹沢ビジネスセンター行きの路線バスを捕まえる。途中のバス停で数人づつ乗客が降りて、終点で降りたのは十数人のハイカー達。待ち構えていたセンター職員に促されて登山計画書を提出する。神奈川県の財政対策のため、本年3月末丹沢湖ビジネスセンターが閉鎖され、西丹沢自然教室が西丹沢ビジネスセンターとして生まれ返ったのだそうだ。見上げれば万幕が翻る。明日は西丹沢の山開きだという。
新緑の樹木に囲まれた水晶沢ノ頭 | シロヤシオ咲く畦ヶ丸 |
西丹沢ビジネスセンターが出発点。白石沢の右岸を北へ遡上する。新緑の山、激しい沢音、ハルゼミの斉唱、心地いい微風。桧洞丸登り口を過ぎ用木沢。車止めゲート脇をすり抜けて、林道から登山道を上る。相次ぐ堰堤を越え、白石沢を木橋で渡る。左岸から右岸へ、また渡り返す。沢は次第に細くなる。ザレ沢を渡ると白石沢の右岸を高巻いて進む。静かな森に滝音が聞こえる。樹間から覗く対岸に白石の滝。別称大理石ノ滝。この流域はかつて大理石の産地だったという。
桟道を渡って苔むした二つのベンチを過ぎる。歩き難い白石沢の涸沢。源頭に近付くころ、道標に促され、涸沢を離れて鎖場の岩塊を上る。最後は汗して上るじぐざぐの長い急坂。緑なす樹木越しに端正な大室山が見える。やっと白石峠に到着。右折すれば尾根筋を上って加入道山、大室山へ。左折はこれから辿る、標高1,200mほどの縦走路。水晶沢ノ頭からシャガクチ丸、バン木ノ頭、モロクボ沢ノ頭、畦ヶ丸へ。なんと縦走路のうちこの白石峠が最高点、標高は1,296m。
ここまでと同様、畦ヶ丸を経て終着の西丹沢ビジネスセンターまでは東海自然歩道のサブコース。縦走路は東海自然歩道の道標が立つ。まずモロクボ沢ノ頭3.6kmの道標。新緑が眩しい樹林の尾根、しっかりした踏み跡、刈りこまれたスズタケ。樹林の切れ目に、あれは桧洞丸から連なる同角山稜。右手には道志川を挟んで道志山塊が樹間から覗く。ほどなく樹林の中に水晶沢ノ頭。展望はない。虫除けネットを被ったハイカーがベンチを占有して昼食のラーメンを啜っている。
シロヤシオ | トウゴクミツバツツジ |
煩わしい5月の虫、首筋や耳へ纏わりつく。咬まれたら数週間痒みがとれない。先へ進んで鞍部へ下り小峰を越える。杉の倒木を避け崩落地を木橋で渡る。足元にこぼれるドウダンツツジの花びら。シャガクチ丸に近づくとトウゴクミツバツツジが咲いている。緑の森に鮮やかに映える赤紫の花。満開のツツジがあれば、まだ蕾のツツジもある。シャガクチ丸もバン木ノ頭も樹木とスズタケに囲まれた山頂。勿論展望はない。またトウゴクミツバツツジの群生が現れてモロクボ沢ノ頭。
尾根筋を直進すれば城ヶ尾峠を経て菰釣山へ通ずる。予定どおり左折して畦ヶ丸へ向かう。厄介な梯子を下り、鎖場の白ザレを上る。白ザレとは花崗岩が風化して砂状と化したもの。避難小屋から数分で畦ヶ丸山頂。白いシロヤシオの花で飾られた畦ヶ丸。帰りのバス時間が気になって下山を急ぐ。アセビが茂る下山路は、煩わしい梯子また梯子。本棚沢から西沢へ、何度も木橋を渡り、堰堤を越え、ガレ場を下る。もう疲労困憊。見えてきた西丹沢公園橋はゴールへの懸け橋。
晴れ時々曇り 単独行 歩行距離=13km 歩行時間=7時間35分
JR御殿場線、谷峨駅7:50⇒(富士急湘南バス)⇒8:35西丹沢ビジネスセンター
西丹沢ビジネスセンター8:45→11:30白石峠11:45→12:05水晶沢ノ頭12:10→12:55シャガクチ丸13:00→13:25バン木ノ頭→13:55モロクボ沢ノ頭14:00→14:30畦ヶ丸14:40→17:00西丹沢ビジネスセンター
西丹沢ビジネスセンター17:05⇒(富士急湘南バス)⇒18:15JR御殿場線、谷峨駅