#261 2015/5/11(月) 蛾ヶ岳 1,279m → 大畠山1,118m
蛾ヶ岳は、富士五湖の北に連連と続く御坂山塊の西端の山。それにしても「蛾」を「ヒル」とは逆立ちしても読めない。「蛾」は虫のガ、環形動物の「蛭」とは違う。甲府の武田屋敷から見ると、ちょうど昼に太陽が山の上にくるので「ひるが岳」と呼ばれたのだそうだ。「昼ヶ岳」ではダサイので「蛾ヶ岳」としたらしい。蛾は当て字。また、地元では「ガビ山」と多くの人が呼んでいるそうだ。中国の名峰はヤマ偏の「峨眉山」であって、ムシ偏の「蛾眉山」ではない。まあいいだろう、楽しく登ろう。
久々に参加した毎日旅行会の山岳ツアーは女性9名、男性5名、ガイド2名。居眠りしているうちにバスは登山口まで連れて行ってくれる。登山口の脇に四尾連湖第二駐車場。初夏を思わせる清々しい山の朝。あれが蛾ヶ岳とガイドが指をさす。緑に包まれた山。登山口の標高は890m、だから、あと400mほど上れば山頂に着く。登山口には雑多な看板が立つ。四尾連湖公園線起点、キャンプ場の皆様へ、登山案内図、四尾連湖案内、蛾ヶ岳・精進湖登山口、熊出没注意。
蛾ヶ岳山頂から富士山を望む 手前左は三方分山、 右は竜ヶ岳 |
四尾連湖の後方は櫛形山 背後は南アルプス |
青空、微風、今日は絶好の山行日和。登り始めは杉林。小さなじぐざぐを描きながら上れば、ほどなく稜線に乗る。大畠山分岐。小憩後、小峰を巻く山腹につけられた山道を往く。上り下りが殆どない緩やかな道。若葉が萌えるミズナラ林は展望を隠す。時にはアカマツ林やヒノキ林を抜ける。二個所のやせ尾根を通過し、鉄パイプで補修された沢を渡る。路傍に咲く花を見つける度に、ツアーの列は停止する。ひっそりと咲くキンランやギンラン。持ち去られないのが不思議だという。
六地蔵が並んで彫られた石像が迎えてくれる西肩峠。笑っておくれよ無表情のお地蔵さん。この西肩峠から山頂までがコース唯一の難路。上りはきつい急登、下りは滑落注意の急斜面。それでも10分余りで登頂、蛾ヶ岳。山頂には、三等三角点、山梨百名山の標柱のほか、「祭金毘羅宮」と彫られた石碑の傍らに合掌した石の地蔵がある。蛾ヶ岳は富士山を展望する山だというが、開けた西側には、負けず劣らず大パノラマが広がる。南アルプス、八ヶ岳、奥秩父、甲府盆地。
甲府盆地を裂いて流れる釜無川 後方は八ヶ岳の阿弥陀岳、赤岳、硫黄岳 |
四尾連湖 右端が蛾ヶ岳 |
見下ろせば、鬱蒼とした森の中に佇む青い湖面は四尾連湖。山を越す心地いい風、景色を見ながら昼飯を喰らう。さて、蛾ヶ岳に別れを告げて大畠山分岐まで往路を戻る。大畠山には二等三角点や、棒杭と立木に括られた手書きの山頂標識がある。展望のない山。興醒めは、南端にある金網で囲まれた通信施設。あとは下山するだけ。暗い杉林を下って四尾連峠。樹間から四尾連湖が覗く。大石に銘盤が嵌め込まれた野沢一なる詩人の碑。僕は浅学にしてその名は知らない。
降りたところは小さな四尾連湖畔に小さな旅荘の水明荘。四尾連湖は湖面標高880m、周囲1.2km、最大水深13m、山上の小規模なカルデラ湖。雨乞い信仰の湖にして、四つの尾を連ねた竜神が住むという。四尾連湖をぐるりと一周する。仰ぎ見れば対岸に新緑の大畠山、蛾ヶ岳。キャンプ場を通り抜けてバスが待つ第二駐車場に帰着する。路程は短くとも若葉に彩られた山、一日中見えた富士山、大展望を満喫した日。帰路には立寄り温泉、まほろの湯で山旅の汗を流す。
快晴 日帰り 毎日旅行、山岳ツアー 歩行距離=7.7km 歩行時間=2時間55分
新宿駅西口7:50⇒(ツアーバス)⇒中央高速、甲府南IC⇒10:10四尾連湖(しびれこ)第二駐車場
蛾ヶ岳登山口10:25→10:50大畠山分岐10:55→11:40西肩峠11:45→11:55蛾ヶ岳12:25→13:25大畠山13:35→13:50四尾連峠14:00→14:05四尾連湖14:15→14:30蛾ヶ岳登山口
四尾連湖第二駐車場14:40⇒(ツアーバス)⇒15:10まほろの湯16:10⇒18:25新宿駅西口