#246 2014/5/24(土) 同角ノ頭山1,491m ← 大石山1,220m
花の丹沢を登る。この時期にはシロヤシオ、別称ゴヨウツツジ。そこにトウゴクミツバツツジが艶やかに色を添える。共につつじ科、違いは白い花と赤紫の花、三つ葉と五つ葉。シロヤシオといえば桧洞丸が夙に知られるが、なにも桧洞丸だけの専売特許ではない。西丹沢の山ならどこにでも見られる。今日は、ツアーバスで乗り込んだハイカーが犇めく桧洞丸は敬遠して、滅多に人に遭うことのない同角山稜に登ろう。大石山から同角ノ頭まで、花と若葉と白ザレの縦走路を行く。
いつものように谷峨駅に着くと驚いた。臨時バスが停まっている。満員のバスに揺られて玄倉へ。降りたのは尊仏ノ土平から塔ノ岳へ上る若者と僕の二人だけ。よく晴れているものの、遠くは霞む朝。釣り人の朝は早い。数人が丹沢湖畔に糸を垂れている。さてこれから2時間余り、うんざりの林道歩きが始まる。車止めゲートには既に駐車している数台の車。ヘッデンを点けて新青崩隧道を抜けると玄倉ダムに淀む真っ青な水。行き交う人もなく八つのトンネルを潜ってユーシンへ。
大石山から望む丹沢主稜 | 同角ノ頭山頂 |
ユーシンロッジは「神奈川の森100選」の杉の森の中。かつての営業小屋、今は避難小屋。全部の窓を開けて風を通している。前庭の片隅に食事中の中年夫婦がいる。ひと声かけて小屋脇に架かるユーシン橋を渡る。沢音を聞きながら、どれ僕も軽食を摂りまひょか。大石山の山頂まで、水平距離1km、標高差500mを上る。上り始めは杉林、じぐざぐに上って休憩舎を通過する。アセビが茂る気持いい自然林は急登だが歩き易い。木の根や鉄の階段を上ると大石の下に出る。
新緑が眩しい山道、急登は続く。何度も鉄梯子を上り鉄鎖に縋る。大石山。白ザレの山頂に置かれたテーブルベンチにザックを放り投げて、大パノラマに浸る。前方に石小屋ノ頭と同角ノ頭。東には丹沢主稜の山並み、臼ガ岳、丹沢の主峰、蛭ガ岳から円頂の丹沢山、塔ノ岳。東は西丹沢の南端、湯船山、三国山。その先の富士山は霞の中。大石山から同角ノ頭までの同角山稜は水平距離にして2km。ガイドブックには上級コースと記されているが、早速その洗礼を受ける。
山頂の北端から花崗岩砂のザレ場を降る。滑るまいと鉄鎖に身を委ねて下る長い滑り台。樹林の山道にはシロヤシオやトウゴクミツバツツジの花びらが散る。高度を上げるにつれて白と赤紫のツツジの花の饗宴となる。アップダウンの激しいやせ尾根が続く。鉄梯子を降りキレットへ、また鉄梯子を上り返す。テーブルベンチが置かれた辺りは、もしや石小屋ノ頭。ハイライトはザンザ洞キレットの通過。アセビの若木が鬱陶しい白ザレのキレット。鎖に助けられ長い木橋を渡る。
トウゴクミツバツツジ | シロヤシオ |
ブナに囲まれた同角ノ頭山頂。環境悪化のためブナの立ち枯れが増え、また食害により年々樹木が減少しているという。同角ノ頭で同角山稜は終る。中ノ沢乗越へ標高差170mを下り、石棚山稜へ標高差110mほど上り返す。林床は群生するマルバダケブキ、続いてバイケイソウ。石棚山分岐からつつじ新道降下点まで標高差70mの木段上りが辛い。疲れ果てて木段に腰を下して座り込む。降下点を降りずに、そのまま上れば桧洞丸の山頂だが、もはやその元気はない。
つつじ新道降下点からの下り始めは予定どおりの時刻。木段と木道が尽きるとガレ場に悩まされる。とても2時間以内では西丹沢自然教室にゴールできそうにもない。前回、11年前には1時間30分で下りたのに。ガレ場はゴーラ沢出合まで。遥か先に見える赤いリボンテープを目指して飛び石を渡る。薄暮の西丹沢自然教室にやっと辿り着く。次のバスまで1時間待ち。それでも薄暗くなったこの時間にハイカーが三々五々下りてくる。日没。闇を切り裂いて最終バスがやってきた。
晴れのち曇り 日帰り 単独行 歩行距離=18km 歩行時間=8時間10分
JR御殿場線、谷峨駅7:40⇒(富士急湘南バス)⇒7:55玄倉
玄倉8:00→8:35車止めゲート→9:10新青崩隧道→10:10ユーシンロッジ10:30→11:50大石山12:00→12:50石小屋ノ頭13:00→13:40同角ノ頭13:55→14:50桧洞丸分岐15:00→15:50展望台16:10→16:50ゴーラ沢出合17:05→17:40桧洞丸登山口→17:50西丹沢自然教室
西丹沢自然教室18:58⇒(富士急湘南バス)⇒20:07小田急線、新松田駅