#244 2014/4/24(木) 春日山 1,236m
東から西に流れる芦川、その谷あいに集落が寄り添っている。旧芦川村。平成の町村大合併により、笛吹市に編入され笛吹市芦川となった。芦川集落は御坂の山々にぐるりと囲まれている。御坂山塊は東の笹子川から立ち上がり、西へ本社ヶ丸、御坂山と続き、黒岳で芦川を挟んで二つに分かれる。河口湖に近い山並は名だたる山群、節刀ヶ岳、十二ガ岳、鬼ガ岳、王岳と続く。一方、甲府側はさほどの人気はない。釈迦ヶ岳、春日山、滝戸山等々。今日は春日山に登る。
石和温泉駅前から芦川の鴬宿(おうしゅく)行きの笛吹市営バスに乗る。なんと降車するまで乗客は僕一人だけ。石和の街路樹は今が満開、ハナミズキ。桃色と白色の花が華やかに咲く。市街地を脱して果樹園を縫って走るバス。芽吹き出したブドウ、桃の花は終期。新緑の山が近づけば今が満開の桜や桃。桃色の花はモモ、白色はスモモ。バスは蛇行を繰り返してして標高1,000mまで山裾を駆け上がり新鳥坂トンネルに突入する。トンネルを抜けた所が鳥坂トンネルのバス停。
僕の持っているS社の「山と高原地図」に春日山は収録されてない。頼りはカシミール3Dからコピーした地図だけ。だから一抹の不安がある。道迷い、それに下山後のバスに間に合うか。さて、雲間から降り注ぐ日差し。気持ちいい山の朝。トンネル脇から延びる旧道の車止めゲートに、「笛吹市トレッキングコース春日山」と大書された看板が掛かっている。その脇をすり抜けると塞がれた旧鳥坂隧道入口の手前に道標がある。春日山の登山口。そこに「拓道栄郷」との石碑がある。
春日沢ノ頭 甲府側が開けた好展望の山頂 | 名所山、またはトヤンハチと呼ばれている |
あと一か月もすれば藪が濃くなるであろう山道をジグザグに上って旧鳥坂峠。道標が立つ。釈迦ガ岳との分岐。まだ冬枯れのブナ林を上って主稜線、そこにNHKの通信制御函が現れる。厚く積もった落葉は踏み跡を消す。さあ、右か左か、春日山はどっちだ。方向から左の尾根へ向かったのが大間違い。三つ目のコブを下りかけて足を止める。この先に続く尾根はなさそうだし、足元は落葉に隠された踏み跡でもない。思い直してNHKの通信制御函の所へ戻る。約30分のロス。
厚い落葉が積もっていても、しっかりしたミズナラ林の尾根道。コブをいくつか越えると春日山方面の道標がある小峰へ上る。90度左折して下れば、樹木越しに円頂の峰を見る。上り返して春日沢ノ頭。立木が取り払われて広々とした三等三角点のある山頂、標高1,235m。別称崩山。なんだこれは。小型のトラクターが腰を据え、梱包網掛けされた資材がある。右下へ作業道も通じている。開けた山頂は好展望地。惜しむらくは霞んだ甲府盆地、南アルプス、八ガ岳、茅ガ岳。
春日山とは
黒坂峠から鴬宿峠までは防火帯を歩く | リョウメンヒノキ、鴬宿峠のなんじゃもんじゃの木 |
葉がヒノキに似てヒノキでなく、コノテガシワに似てコノテガシワでなく、葉の表と裏の区別がつきにくい。
そこで植物学者牧野富太郎氏によってリョウメンヒノキと命名されたのさ。登り終わって顧みれば、登山口には登山届の提出箱もトイレもない。鳥坂峠から黒坂峠まではブナの落葉の尾根道。黒坂峠から鴬宿峠までは防火帯が登山道。あとは鴬宿へ下山するだけ。左へ下る山道を見落として、林道大窪鴬宿線を下る。2kmほど下ると車止めゲートにUターンしている乗用車、壮年の人が乗りませんかと声をかけてくれる。ご好意に縋って石和温泉駅まで乗せていただいた。感謝。
晴れ時々曇り 日帰り 単独行 歩行距離=6.7km 歩行時間=3時間20分
JR石和温泉駅9:30⇒(笛吹市営バス)⇒10:10鳥坂トンネル
新鳥坂トンネル10:15→10:30鳥坂峠→10:35主稜線→(分岐を間違えて引き返す)→11:00主稜線→11:35春日沢ノ頭11:40→12:00春日山→12:10黒坂峠12:25→12:45トヤンハチ(名所山)12:50→13:35鶯宿(おうしゅく)峠13:40→(林道、大窪鴬宿線)→14:20車止めゲート
大窪鴬宿線ゲート14:25⇒(マイカーに便乗)⇒15:00JR石和温泉駅