#241 2013/12/02(月) 雨山 1,176m → 桧岳 1,167m
玄倉(くろくら) 寄(やどりき) 新青崩隧道(しんあおくずれずいどう)
丹沢の紅葉名所と云えば玄倉川、別称ユーシン渓谷。玄倉川を遡る玄倉林道から登る山は秀逸な登山コースが多い。雨山橋から雨山峠、ユーシンから同角山稜、オクラ沢から鍋割山、熊木沢出合なら棚沢ノ頭や蛭ガ岳。尊仏ノ土平や大金沢出合から塔ノ岳。しかし林道歩きだけで2、3時間もかかるので歩く登山者は少ない。風邪も癒えた12月、紅葉の盛りをとうに過ぎた丹沢を登る。玄倉林道から雨山沢を遡り、桧岳山稜の縦走路を歩く。これは昨年の逆ルートを歩くことになる。
西丹沢自然公園行きのバスを玄倉で降りる。玄倉とは丹沢湖の東湖畔。初冬の朝はとてつもなく寒い。見上げれば抜けるような青空。湖面の先に真っ白な富士山が見える。まだ眠りから覚めやらぬ集落を抜けて、玄倉川に沿って林道を遡る。渓谷の静けさを破る大きな音。堰堤から流れ落ちる水音、対岸の大滝、砂利の精製工場。真っ白な大石が敷き詰められた河床、真っ青な水が淀む二つの発電所のダム。渓谷の紅葉は終期、茶色に変色して縮れ、落葉となって散ってゆく。
玄倉川 | 雨山峠から見る真っ白な富士山 |
雨山橋まで8km、八つのトンネルを潜る。そのうちコンクリート舗装されているのは三つだけ、残りは素掘り。むき出しの壁面、雫と水溜りにご用心。二つ目は新青崩隧道。崩落の兆しが見えたため通行禁止、玄倉側に新たに入口を付け直したのは3年前のこと。長さ327m、通り抜けるのに7分を要す。屈曲しているので真っ暗、持参したライトで足元を照らして歩く。入口には1m余りの木の枝が立てかけてある。ライトがないときは、木の先端で壁面を探りながら歩くのだってさ。
雨山沢出合はユーシンの手前15分。雨山橋を渡って杉林に入ると雨山峠を示す道標と警告がある。<危険 これより雨山峠まで沢沿いの登山道なので荒天時は通行しないでください 神奈川県> 登山道は雨山沢の右岸を高巻く。雨山峠まで1.3km、歩行時間40分。歩き始めはアルミ板を踏み鉄パイプに掴まる桟道。その後は十余りの木段と木橋を渡り、鉄鎖をつかんで岩壁をへつる。沢に下りる地点を見落として立ち往生。沢の源頭を越えると土の道をじぐざぐに上る。
雨山峠。テーブルベンチと道標がある。このまま直進して寄沢を下れば寄、左へ上れば鍋割山、右へ上れば雨山から桧岳。誰も居ない峠、寄沢から冷たい風が忍び寄る。そう云えば玄倉林道で出会った登山者はふたりだけ。僕を追い抜いて熊木沢から臼ガ岳へ登る人、塔ノ岳から下りてきた人。雨山へ向かうヤセ尾根は気持ちいい尾根筋、右手に富士山が、振り向けば鍋割山が見える。急な長い木段を上ると広い主稜線に出る。樹林から垣間見る丹沢主稜。蛭ガ岳、桧洞丸。
雨山山頂 | 崩壊地から桧岳を見る |
雨山山稜の縦走路は2km、1時間。落葉が厚く積もっていても踏み跡は消えることはない。緩やかに上って雨山。ひっそりとした雨山山頂。テーブルベンチでひと休み。頭をめぐらせば、丹沢主稜や同角山稜を望んで同定する。快適に歩く稜線の道。大崩壊地に出くわすと桧岳が姿を現す。80m下って同じ高さを上り返して桧岳。山頂は樹林の中、展望はない。あとは下山するだけ。うろ憶えの成長の森への降下点が見つからない。林道秦野峠を示す道標から降りるはずなのだが。
やっと見つけた薄い踏み跡に導かれて枝尾根を下る。枯草の急斜面はずるずると滑る。杉林に入っても何度もじぐざぐに折り返す。下方にベンチのある広場が見える。成長の森。案内板曰く、<この森は赤ちゃんの誕生したご家族から寄付された苗木により造られました お子さんの健やかな成長を重ね合わせていつまでも神奈川の森に愛着を持っていただくため「成長の森」と名付けました> 山道は幅広の傾斜の緩んだ山道に変わる。林道へ降りて寄大橋、もうすぐゴール。
快晴 日帰り 単独行 歩行距離=16.9km 歩行時間=6時間20分
JR東海、谷峨駅8:51⇒(富士急湘南バス)⇒8:08玄倉
玄倉8:10→8:50車止めゲート9:00→9:30新青崩隧道→10:10雨山橋10:25→11:10雨山峠11:25→12:00雨山12:10→12:40桧岳12:45→12:50成長の森降下点→14:10成長の森→14:30成長の森入口→14:40寄大橋→15:15寄
寄15:40⇒(富士急湘南バス)⇒16:05小田急線、新松田駅