#214 2012/3/14(水) 奥久慈男体山 654m → 袋田ノ滝
大円地(だいえんち) 月居山(つきおれさん) 後山(うしろやま)
啓蟄が過ぎてもまだ春は遠い。茨城県の北、奥久慈連山の男体山に登る。同名の山との紛らわしさを避けるため奥久慈男体山と呼ばれる。山行予定は男体山から北へ、月居山まで縦走する。終着は袋田ノ滝。歩行予定時間は5時間半。最高点が高々六百数十米と侮ること勿れ、里山らしからぬ荒々しい岩峰が続きタフな山歩きらしい。山旅はやっと馴染んできたいつもの毎日旅行のツアーに参加する。総勢23名、うち女性12名、男性11名、プラス男女1名ずつの添乗員。
大円地の駐車場から男体山の岩壁を見上げる。女性の添乗員が「右から回り込むのが一般コース、今日は左から巻いて健脚コースを上ります」だって。道標に従い集落を通り抜けると一般コースへの分岐点がある。山の本には「険路」と記されている健脚コースは緑の樹林帯を緩やかに上る。列が停止して、添乗員が「これから鎖場を急登します。ストックは仕舞い、厚いジャケットは脱ぎましょう」と注意を促す。岩場につぐ岩場、冷たい鉄鎖に縋ること長い30分、主稜線へ上る。
大円地から男体山を見上げる | 男体山山頂 |
右折して男体山の北斜面を上る。残雪が所々氷結した尾根道を急登する。一等三角点のある山頂に立つ。大岩壁の縁に男体神社の祠がある。NHKの中継局とアンテナ塔がある。快晴にして無風。抜群の展望を誇る男体山は、北から西にかけて冠雪の山々を望む。安達太良山、磐梯山、那須連峰、高原山、日光連山。眼下には緑の奥久慈の山々に囲まれて山麓の集落が散見し、久慈川が見え隠れする。足を休めていっときの食事休憩後、あの残雪の北斜面を恐る恐る下る。
大子町製の道標は完備している。「月折山、袋田ノ滝」を目指せばいいのだが...僕の前を歩く御仁を追って緩やかに山道を降る。姿を消していた御仁が駆け上がってくる。どうやら道を間違えたようだ。大声で叫べど谺すら聞こえず。主稜線まで引き返すと、「月折山、袋田ノ滝」の道標があるではないか。道標の見落とし。僕ら後続6名は上小川駅へ下っていたのだ。見返坂で待ちわびていた本隊に合流。誰かが「まだ稜線の1/4しか歩いていないよ」との言葉に一同悄然とする。
月居山 | 袋田ノ滝 |
添乗員の勧めでアイゼンを履く。凍結した長い坂を難なく下り、二つの小沢を渡る。主稜線は歩き易いブナ林。大小の小峰をうんざりするほど上りまた下る。時折、鎖場を上り下りする。この奥久慈連山は、火山噴出物が固まって出来た男体山集塊岩で組成される。まるで石ころをセメントで固めたような岩。だから突起した石ころに手がかり足がかりを容易に探すことができる。袋田の集落を見下ろす第二展望台、ついで第一展望台と呼ばれる後山に到着した時はさすがに嬉しい。
強者どもの月居城も今は厚い落葉に埋もれ、月居山を足早に通過する。月居観音から袋田ノ滝まで標高差200m余りをなんと急な石段を降る。下りるほどに高鳴る滝音。樹幹越しに袋田ノ滝の上段が見え始める。石段から鉄製の階段に変わる。長い階段を降り終え、吊橋を渡り、滝を見上げる。袋田ノ滝は幅73m、高さ120mから流れ落ちる四段の滝、別名「四度の滝」とも呼ばれ、日本三名瀑に数えられる。もう山旅は終わる。暮れなずむ滝川の畔を下って帰りのバスを探す。
晴 日帰り 毎日新聞旅行会、山岳ツアー 歩行距離=8km 歩行時間=5時間35分
東京駅丸の内7:30⇒(まいたび、ツアーバス)⇒10:10大円地
大円地10:20→(休憩、5分)→11:50男体山12:20→12:40(道間違え)13:00→13:30見返坂13:35→(休憩2回、15分)→15:05第二展望台15:10→15:25第一展望台15:30→16:00月居山16:10→17:15袋田ノ滝16:55→17:00駐車場
袋田ノ滝17:20⇒(まいたび、ツアーバス)⇒20:10東京駅丸の内