棒ノ折山2ぼうのおれやま) 

210 2011/11/15(火) 棒ノ折山 969




白谷沢(しろやさわ)  岩茸石(いわたけいし)  権次入峠(ごんじりとうげ)


棒ノ折山は標高1,000mにも満たない山だが、白谷沢コースは奥多摩でも海沢探勝路と並び賞される屈指の渓谷美が楽しめるという。河又名栗湖入口のバス停脇にコース案内がある。<関東ふれあいの道(水源のみち)は、ここから有間ダムを経て白谷沢を登り棒ノ嶺へと続きます。この白谷沢は有間ダム周辺で最も美しいと言われている沢です。沢筋は大変滑りやすく危険を伴います。特に冬季の結氷時や大雨の後は白谷沢への立入りは避けてください。環境庁、埼玉県>


無風にして寒い朝、高曇り。有間ダムへの標示に従い、名栗村営のさわらびの湯を通り過ぎる。坂の上に堰堤が現れる。ダム湖名は名栗湖。所在は入間川支流の名栗村。多目的ダムにして、ダム形式は岩を積み重ねたロックフィルダム。堰堤を歩きながら眺める景色がいい。低い湖面の先に織りなす奥武蔵の山並み、堤から左下を覗けば、入間川流域まで芝で覆われている。ダム湖の南湖畔を歩くと白谷沢に架かる緑色の橋が見えてくる。橋を渡ると白谷沢の登山口がある。

白谷沢 ゴルジェ


登山口に白谷の泉という涸れた水場がある。杉の植林帯を木の根や露岩を避けながら白谷沢の左岸を沢に沿って上る。岩を噛む激しい沢音。葉陰から2段の滝が見える。藤懸ノ滝。山道から流れに下りていよいよ沢歩きが始まる。沢歩きといっても流れを泳いだり、滝を攀じ登ったりするわけではない。ただ岩の頭から頭へと歩くだけさ。靴を濡らすことも滑ることもない。いくつもの小滝を通過すると前方にゴルジェが現れた。ゴルジェとは両岸の岩壁が狭まった細い谷筋のこと。


広がったり狭まったりするゴルジェ。白谷沢の左岸と右岸を何度も渡渉する。目をこらして見失いがちなルートを辿る。昨夜に降雨がなかったのか沢の水量は少ない。ゴルジェを抜けると2連の長い鎖場を上る。上り着いたところに白孔雀ノ滝という標識が立っているが、どこに滝があるのか分からない。沢の流れは細くなり沢筋を歩めばマムシに注意との標識がある。白谷沢を離れ、左岸の丸木の階段を上って林道を横切る。林道大名栗線。恰好の休憩舎がある。ここで軽食休憩。


落葉を踏んで丸木の階段を直登する。岩茸石と呼ばれる岩塊がある尾根上に出る。ベンチもある。ここは十字路、合流点。尾根筋を下れば河又へ、東へ下れば名栗温泉へ。左は植林、右は灌木の尾根筋を緩やかに上る。ほどなく権次入峠、主尾根に乗る。ここにもベンチがある。主尾根を下れば岩茸岩山、惣岳山を経てJR御岳駅に至る。岩屑の上に厚く積もった落葉の主尾根は急な坂、くたびれた丸木の階段を黙々と上る。叢が見えてきた。やっと棒ノ折山の山頂へ辿り着く。

棒ノ折山の山頂 主尾根の見晴しから大丹波の集落が見える


棒ノ折山とは、畠山重忠が山越えのとき、杖として使っていた棒が折れたことに由来するらしい。また、「坊主ノ尾根」、「坊ノ峰」とも呼ばれたという。この山は埼玉県と東京都との県境の山。面白いことに山名が異なる。山頂の東側に立つ埼玉県の標識には「棒ノ嶺」、一方、西側にある東京都の標識には「棒ノ折山」と標示されている。広い山頂。休憩舎や数脚のベンチがある。泣きそうな空、視界は悪い。東側、茅の叢越しの先には、霞みの中から奥武蔵の山々が時々姿を現す。


主尾根を南へ下る長丁場。急坂を下って権次入峠。暗い杉の植林を抜けるとミズナラ林。上り返して黒山。山頂には三等三角点、傍らにベンチもある。幾つもの小峰を越える。アセビの群落がある。岩稜地帯もある。尾根の東側が切れ落ちた見晴し地点もある。鬱蒼とした杉林の鞍部に下りる。名坂峠。ここで主尾根から西へいっきに下る。急坂を下ると聞こえてきたチェーンソーの音が、ジグザグの緩斜面を下るにつれて遠のいてゆく。杉林が終われば大丹波の里、八桑バス停。


曇り 日帰り 単独行 歩行距離=12.5km 歩行時間=5時間15分

西武池袋線、飯能駅814⇒(国際興業バス)⇒855河又名栗湖入口
河又名栗湖入口バス停900915有間ダム→925白谷沢登山口→950藤懸ノ滝→955ゴルジェ→1025休憩舎10351045岩茸石→1105権次入峠→1115棒ノ折山11301140権次入峠→1200黒山12051315名坂峠→1410八桑→1440JR青梅線、川井駅