鍋割山6なべわりやま)  

198 2010/12/25(土) 鍋割山 1,273




寄(やどりき)  後沢(うしろざわ)乗越(のっこし)


冬来たりなば鍋割山に登る。大倉を起点とする登山道は道標が完備され補修も行き届いている一般道。だからハイカーの上り下りは絶えることはない。一方、寄から登る鍋割山は些か手強く、滅多に人に会わないから静かな山歩きができる。今日の予定は、後沢右岸尾根の作業道を上り、鍋割峠を経て寄コシバ沢を下る。山地図には後沢右岸尾根の記載はなく、寄コシバ沢は赤い点線の難路で表示されている。当然のことながら道標はなく、ルートを探しながら登ることになる。


寄バス停にポスターが貼られている。「一人で山に登るな」「枝道に踏み込むな」「登山届は提出したか」 ギョッ、僕のことか。とてつもなく寒い朝、北風に向かって一人旅。廃墟になったかつてのキャンプ場、やどりき水源林の車止めゲートをすり抜ける。管理棟の標示には「熊の目撃多数」「鍋割山で行方不明、求む情報」 舗装道路が尽きるところが登り口。そこに立札が乱立する。「登山口」「登山道、寄ユーシン線案内図」「雨山峠32km」「注意、熊出没」「成長の森、左へ」

後沢右岸尾根の762m峰 ゴーロの寄コシバ沢


後沢右岸尾根を登る。先ず登り口から鬱蒼とした杉の森に入る。鹿柵ドア前で道標「ボランティア林Aに進むと、道標「この先作業用径路、迷いやすく危険です」が出現。作業用径路を辿れば道標のない二股に出くわす。左方を選んで斜面をジグザグに上る。道を間違えたかなと思う頃、二つ目の「この先作業用径路・・・」が現れる。再び作業用径路を辿れば大岩の下に出る。それにしてもあちこちの木の枝にリボンテープを見かける。偽リボンマーカーに惑わされちゃいけないよ。


こんな作業道にベンチが二つある。いつの間にか踏み跡は消え、薙ぎ倒された鹿柵に沿って上る。かまわずに直登すると鹿柵ドアが倒れている。鹿柵の柱には黄色いテープが巻かれ「鍋割山→」の文字。ドアをくぐれば762m峰」と記された木片が足元に転がっている。これで尾根の半分まで登ってきたことになる。やせ尾根から急斜面にかかる頃、また踏み跡が消失している。尾根筋を外さずに遮二無二急登すれば杉林を抜けてブナ林、踏み跡が復活して明るい稜線に辿り着く。


ここは後沢乗越から鍋割山山頂へ続く稜線。傍らの木の幹に「山火事注意」の標示があり、1000m」と赤くペイントされた木もある。あとは一般コースを山頂へ上るだけ。それにしても歩き難い尾根道。丸木の階段、木道。左手に富士山、右手に鍋割山稜を見ながら、葉の落ちたズミの茂みや緑のアセビの群落を抜ける。鍋割山。「鍋焼きうどん¥980の看板を立てた鍋割山荘。山頂には10名ほどの登山客が先着。草原に寝転ぶ人も居る。おや、草の上にあの丸い鹿の糞がない。

樹氷の丹沢主稜 右から不動ノ峰、蛭ヶ岳、臼ヶ岳、左端は桧洞丸


雨山、桧岳の遥か先に雲を被った富士山。シルエット状の愛鷹連峰、箱根連山。光る相模灘に突き出た真鶴岬。さて腹拵えも終えて下山のとき。雨山峠への道標に沿って山頂から西へ、柔らかな土が沈み込む急斜面を降る。鍋割沢を挟んで対峙する丹沢主稜の姿に吃驚。全山霧氷の白い山。これは美しい。不動ノ峰、蛭ヶ岳、臼ヶ岳、桧洞丸。崩壊地脇の急坂を下る途中にサンタクロースご一行様が上ってくる。サンタ帽子が3匹のトナカイ帽子を引き連れて。メリークリスマス。


鍋割峠に立札「この先荒廃」「寄方面滑落注意」がある。ためらわずに寄コシバ沢の源頭から微かに残る草原の踏み跡を下れば、いつの間にか右岸を高巻く崖上を歩く。2個所の崩落地点は靴幅しかない赤土の隘路をトラバースする。緊張、また緊張。下方に赤いリボンテープが見える。ここが寄コシバ沢への降下点。押し流された岩礫が堆積するゴーロの涸沢を降れば登山道、寄ユーシン線に合流する。ここからは何度も歩いた道。これでひと安心。それでも目指す寄は遠い。


晴 日帰り 単独行 歩行距離=12km 歩行時間=5時間50

小田急線、新松田750⇒(富士急湘南バス)⇒815
815845寄大橋→900登り口910→<後沢右岸尾根>→1030主稜線→1110鍋割山11301200鍋割峠→1225寄コシバ沢降下点→<寄コシバ沢>→1250寄コシバ沢出合→登山道、寄・ユーシン線登山道→1405寄大橋14151445
1435⇒(富士急湘南バス)⇒1500小田急線、新松田