大山8 おおやま)    

174 2009/4/3(金) 大山 1,252




いつでも人の賑いが絶えない大山。その大山の山頂から北へ一歩足を伸ばせば、ハイカーすら滅多に足を踏み入れない深い山がある。但し道標がなく、バス停まで無事に辿りつける保証はない。北尾根、石尊沢、大山と三峰山を結ぶ尾根道、梅ノ木尾根。いずれもガイドブックには記載がないコース、または難路の山道。不覚にも梅ノ木尾根縦走路から日向山方面へ進む予定のところ、778m峰から日向キャンプ場へ降りてしまった。それが前回の山行。今日はリベンジの大山へ。


路面凍結の心配がなくなって、ヤビツ峠行きのバスは運行再開。満員のハイカーの半数は表尾根へ去り、半数は大山へ登る。イタツミ尾根の樹林が途切れると大パノラマが展開する。黄砂の飛来もなくよく澄んだ空。きりりとした姿の丹沢、富士山。青銅製の鳥居の手前でグレーチング階段を上る。能書きには動物が鉄格子の上を歩くのを嫌うという。お中道の始まり地点で諸戸への降り口を確認する。鹿柵の門扉がそれ。霜柱と残雪の山頂の裏手には誰も居ない。早飯休憩。

富士山の手前は三ノ塔、中央は塔ノ岳、いちばん高く見える山は丹沢山


鶯が鳴く北尾根を気持ちよく降る。芽吹き未だしの自然林、林床は芝。2箇所の崩落地点は展望地、丹沢の山並みを楽しみながら通過する。左から現れた整備用のモノレールに沿って暫く歩く。モノレールの分岐点から石尊沢へ降下する。ザレた急斜面。自然林、アセビの群落、柘植の大木。右斜面の茂みが騒がしくなると、鹿が目の前に突然姿を現す。真白な尻を見せつけながら、飛び跳ねるように駆け降りて消える。雌の鹿は集団行動をするという。あれは雄に違いない。


石尊沢出合。涸沢の堰堤にリュックを預けてひと休み。眠気を誘うやわらかな陽射し。唐沢峠への上り口は赤いテープが目印。足元に小さなケルンが積まれ、ビールの空き缶が枝に吊り下げられている。崩れかかったジグザグ道を上り、唐沢峠下の東屋をパスし、アセビに囲まれた木段を上る。ヤセ尾根の893m峰に梅ノ木尾根への入口がある。今までは足にあまり負担のかからなかった山道。これからは後半戦。疲れてきた足に激しい傾斜の上り下りが容赦なく痛撃する。

大山山頂のアンテナ塔の間に北尾根入口がある 伏流水となっている石尊沢出合、最奥に大山


里に近い山には作業道やけもの道がある。枝尾根の上には薄いトレイルがある。それが道迷いを招きかねない。滑り落ちまいとアセビの幹に掴まって急坂を伝い降りると、あの道を間違えた地点に到達する。東に延びる尾根を進んではならない。北へ曲がる尾根道が正解。左手の木の枝越しに三峰山が眺められる。三つ目の小峰が鍵掛と呼ばれる778m峰。ここもコースを誤ったところ。道なりに南東へ直進する杉林を避けて北側を窺うと尾根が伸びている。左折が正解。


杉の根がはびこる稜線歩きは煩わしい。大沢分岐には大山山頂を出発してから初めての道標がある。一方は鐘岳を示し、もう一方を指す日向薬師・広沢寺へ進む。アセビの林、杉の森。岩稜のヤセ尾根から大山が見える。南東に進むと尾根はふたつに分かれる。前方を見るとどちらの稜線にもリボンテープが風に揺れておいでおいでと僕を招いている。ここは直進を選択する。松の大木が生える峰には日向薬師と大山を示す道標がある。山頂標識はないが、もしや二ノ沢ノ頭。

変化に富む梅ノ木尾根 二ノ沢ノ頭の手前から大山を望む


方向を転じて一路東へ進む。急坂続きに泣く。浄発願寺分岐。道標には大山方面初心者不可と表示されている。この辺りから道標やベンチが復活。東丹沢のファミリーハイクのエリアなのであろう。弁天ノ森分岐。右に鹿柵と桧林、左下はニノ足沢。長い木段を降りると日向薬師分岐。直進すれば日向山だがもう登る元気はない。ゆるやかにジグザグ道を下ると桜咲く日向薬師。風情のある藁葺き屋根の本堂と宝殿。参道もまたいい。無事の下山に手を合わせて一人旅を終える。


快晴 日帰り 単独行 歩行距離=93km 歩行時間=4時間25

小田急、秦野駅818⇒(神奈中バス)⇒850ヤビツ峠
ヤビツ峠9001005大山10251040石尊沢降下点→1120石尊沢出合11301140唐沢峠東屋→11558931230大沢分岐→1245二ノ沢ノ頭→1300浄発願寺分岐→1335日向薬師分岐→1355日向薬師バス停
日向薬師1415⇒(神奈中バス)⇒1433小田急、伊勢原駅北口