#169 2008/11/4(火)、5(水) 雲取山 2,018m 日本100名山
雲取山といえば東京都の最高峰と云われるが、山梨県、埼玉県、東京都との県境の山。人気の山は登路が多い。一番人気は南の鴨沢と北の三峰神社。お祭りから三条ノ湯に浸って登る人も多い。歩行10時間の長沢背稜縦走と6時間の石尾根縦走なら健脚向き。日原から日原川林道を歩けば、尾根通しの富田新道と渓谷を遡る大ダワへの山道がある。大ダワコースは数ある登山路のうちバスの接続がよく、一番早い時間に山小屋に着ける。難は2時間半もの林道歩き。
北の国から雪の便りが届き、3日前には木枯らし1号が吹く。太陽は雲間に隠れ、寒い。手袋とジャケットは手放せない。歩き始めは日原川を左岸に沿って林道を歩く。富田新道から雲取へ上る女性3人組と、紅葉写真を撮りに来た男共3人組を追い越す。退屈な林道歩きを紛らわすものは紅葉し始めた渓谷の風景と道端にやたらに立つタテカン。カモシカ保護は文化庁/都教育委員会、不法投棄の警告は青梅警察署、入漁券は地元の漁協、水源地は大切にとは東京都水道局。
雲取山山頂 | 雲海からのご来光 |
八丁橋で孫惣谷林道を分けると天祖山登り口の道標がある。その先に車止めゲート。名栗沢橋を渡ると、傍らを通り過ぎた自家用車が前方で停まる。ドアが開いて乗りませんかと声が掛かる。ありがたや岐阜ナンバー。車の中にはちゃっかりとあの女性3人組が乗っている。岐阜から来たGさんは、昨日は大菩薩嶺、雲取山は日帰り、明日からは金峰山と瑞牆山を登るという。富田新道の道標を見つけて女性組が降りる。林道が途切れる手前が大ダワの登り口、山道の始まり。
登山口から降って長沢谷の小さな流れを渡る。ジグザグの坂に取り付いて上り、尾根筋を乗っ越す。ここからは激しい水音を聞きながら大雲取谷の左岸を延々と辿る。地図上では大ダワ林道と記されているが、人ひとりがやっと歩ける幅しかない山道。闊葉樹林帯の山腹に張りついた桟道は丁寧に石積みされている箇所がある。もしや昔からの生活道路かしら。紅葉は標高1,000m付近から始まる。2つ目の支沢を渡る辺りからはもう落葉の樹林。4つ目の支沢で昼食にしよう。
朝日に染まる雲取山山頂 | 富士山が見えるのは早朝だけ |
大雲取谷の源頭部を越える。山道は冬枯れの谷間から山腹をジグザグに這い上がる。アセビの群落を過ぎるとオオシラビソやツゲの大木の森。大ダワに到着。タワとは撓(たわ)、たわむ、が語源で、尾根が大きく撓んだところを云うそうだ。大ダワと記された大きな標識と道標がある。傍らのベンチでひと休み。三峰方面からの尾根道を合わせて雲取山荘への道は二つに分かれる。急坂を上る。廃屋と化した雲取ヒュッテの脇を通り過ぎると、今宵の宿、雲取山荘が見えてくる。
雲取山荘に到着したのは予定より1時間半も早い。勿論誰よりも早いチェックイン。横柄な口調の山小屋の親父が、5時半に出発して山頂で6時6分の日の出を見ろとアドバイスしてくれる。山荘の収容人員は250名。今日の宿泊客は僅か30名ほど。1部屋に2名が寝る。ロビーと食堂にはストーブが焚かれ、部屋には炬燵が暖められている。何よりも楽しかったのは同室のEさん。ふたりの語らいは尽きない。窓の外、見上げれば満点の星、遥か下には光煌めく東京の夜景。
七ツ石山から振り返る雲取山 | 奥多摩の紅葉 |
夜明け前、オオシラビソの男坂を上りつめて雲取山山頂。大きな山頂標識、1等三角点、測量の基準となる原三角測点もある。既に雲取山避難小屋泊りの3人のM大学生が居る。そこは冷たい西風が吹き荒ぶところ。ジャケットのフードを被り、風に当たらない地点に移る。雲取山より東に、雲海より突き出た山はない。うっすらと赤味がかった雲海の縁が光ると天空が急に明るくなる。日の出だ。頭をめぐらせば富士山、飛竜山、大菩薩、甲武信が朝日を浴びて朱に染まってゆく。
幅広の防火帯を下り、上り返すと小雲取山。初夏にはこの草地はお花畑になる。山頂で朝食を摂る。まだ温かい弁当はなかなかいける。すると山荘で同室のEさんが巻き道からひょっこり現れた。Eさんとはこの後、親切にもJR奥多摩駅まで送ってもらうことになる。黄葉したカラマツ林の尾根道を上って七ツ石山、ガレ坂を下って足が泣く。堂所を過ぎると一転緩やかな道。暗い植林の切れ目から、赤指尾根の紅葉が覗く。痛みだした左膝、労わりながら奥多摩湖畔へ下りて行く。
11/4(火): 曇のち晴 単独行 歩行距離=14km 歩行時間=3時間40分
JR奥多摩駅8:10⇒(西東京バス)⇒8:40日原鍾乳洞
日原鍾乳洞バス停8:40→9:10八丁橋→10:00(マイカーに乗車)⇒10:15大ダワ登り口10:25→11:45(昼食)12:10→12:50大ダワ13:05→13:25雲取山荘 (宿泊)
11/5(水): 快晴 単独行 歩行距離=10km 歩行時間=4時間20分
雲取山荘5:30→6:00雲取山(ご来光)6:25→7:05小雲取山(朝食)7:25→8:10七ツ石山8:30→9:20堂所→10:25小袖乗越→10:55鴨沢
鴨沢11:15⇒(マイカーに乗車)⇒11:45JR奥多摩駅