#156 2007/11/14(水) 大群山1,588m→加入道山1,418m 山梨100名山
出発する前に西丹沢自然教室を覗くと、ホワイトボードに書き込みがある。クマの目撃情報。紅葉は標高800mから上。青崩れ洞門内亀裂のため玄倉林道は通行止め。台風9号による土砂崩れのため神ノ川・犬越路間は通行止め。えっ、用木沢の木橋が流出。珍しく係員が居る。促されて登山届を提出。大群山へ登る。大室山とも記される山。期待は用木沢と白石沢の紅葉。先週に立冬を迎えた山はさすがに冷える。いつものように長袖シャツでは耐え切れないほど寒い。
山裾を削り、河原を埋め立てて営業するバンガロー群。自然破壊。身体も温まらないうちに用木沢出合に着く。数台のマイカーが駐車。ここから東海自然歩道を歩く。<<環境省が計画する長距離自然歩道のひとつが東海自然歩道です。四季を通じて楽しくかつ安全に優れた風景地等を歩くことにより国土を再認識し、自然保護に対する意識を高めることを目的としています。路線は高尾国定公園から箕面国定公園までの1,697kmです。神奈川県、自然環境保全センター>>
用木沢 | 犬越路、手前は大群山へ、奥は桧洞丸へ |
思い出すのは5年前の用木沢。夕日を浴びてブナの黄葉が金色に輝き、紅葉のトンネルを降りてきた。今年の紅葉は物足りない。色づいた葉が茶色く枯れて、そのまま落葉しなければいいが。東海自然歩道というだけあって、よく整備されている。適所に道標、ベンチ。青く塗られた鉄の橋や桟道。広い河原に降りると新しい木橋。この河原歩きが楽しい。ややもするとルートを見失って右往左往する。橋や石伝いに何度も沢を渡り返す。六つの木橋を渡り終えると身体も汗ばんでくる。
沢沿いの杉林から紅葉の自然林へ入ると、沢の水音も聞こえなくなる。これからが厄介。石ゴロの涸沢に下りて遡り、どこまでも続く木段を上がる。背よりも高い笹を分けて急登すると犬越路に登りつく。<<犬越路(神奈川県の景勝100選) 武田信玄が小田原城を攻めたときイヌを先頭に越えたことが地名の起こりだともいわれています。それに、西丹沢の主な尾根筋では樹林ばかりなのに、ここだけが明るい草地だというのも、この峠をいっそう特色づけています。神奈川県>>
大群山の主稜線から富士山の遠望 | 大群山山頂 |
ザックをテーブルベンチに抛り出してひと休み。意外に強い風が吹く。火照った身体には気持ちいい。木の香もかぐわしい避難小屋がある。トイレもある。峠を越えれば神ノ川だが、通行止めのロープが張られている。土砂崩れがあり、今でも落石が多発しているという。東南に延びる稜線の先は桧洞丸。手前の小笄(しょうこうげ)の山腹に鮮やかな紅葉がある。北側に広い山頂の山が見える。もしやあれが大群山。折しも後から上ってきた若者が休みもせずに桧洞丸へ向かって行く。
大群山は丹沢の標高ランキングでは第5位の山。6位が桧洞丸。首位は勿論蛭ヶ岳、1,673m。ついで丹沢主脈の縦走路にあるコブ。不動ノ峰、鬼ヶ岩ノ頭、棚沢ノ頭。大群山は西丹沢自然教室から3時間をかけて標高差1,000mを登る。だからこの稜線の勾配はきつい。その上、長い木段を上る。直登して或いはジグザグに上らせて休ませてはくれない。ただ慰めは眺望の主稜線。樹木の切れ目から、西丹沢の畦ヶ丸や菰釣山の向こうに、真っ白な富士山が遠望できる。
ヤセ尾根を通り過ぎ、鎖場を下降して、またひたすらに登る。見上げるように高かった小笄も見下ろすようになる。犬越路では背丈ほど伸びていたササも地を這うような低さ。目前に大群山の頂が現れる。山上はすっかり落葉したブナ林。紅葉も既に終わった冬枯れの山。大群山西ノ肩からやっと平坦になってアセビの群生地を抜ける。大群山山頂。展望はない。三角点、山梨100名山の標柱。食事中の男性がひとり。僕らは冷風を避けて少し北側の斜面に腰を下ろして昼食を摂る。
枯れたバイケイソウの群生地を木道で渡る | 加入道山山頂 |
白い霞に溶け込む富士山を真正面に眺めながらブナ林を歩く。枯れたバイケイソウの群生地を木道で渡る。すぐに200mの急下降が始まる。土嚢が木段に埋め込まれているから膝にやさしい。植生保護のロープが山道を規制する。最低鞍部は破風(はふ)口と呼ばれるヤセ尾根。前大室山への上り返しがまた辛い。道志の湯への分岐を見送って次のピークが加入道山。三角点、山頂標識、それにベンチがある。南斜面にはひっそりと避難小屋もある。樹間から垣間見る道志の山。
樹林の中を緩やかに下って白石峠。白石沢の源頭をジグザグに下りると、膝を泣かせる涸沢下りが待っている。石ゴロの急斜面。沢沿いの山道に入ってほっと一息。滝音がする。<<白石の滝 この滝は、大理石の滝とも呼ばれこの沢の流域が大理石の産地であったことを物語っています。また、この付近はいろいろな変成鉱物が生じています。神奈川県>> また沢に降りて河原歩き。流れを何度も渡り返す。山裾に展がる西丹沢の紅葉を眺めながら、落葉を蹴散らせて帰路を急ぐ。
快晴 日帰り 同行者=O君 歩行距離=14.5km 歩行時間=5時間55分
小田急、新松田駅7:15⇒(富士急湘南バス)⇒8:35西丹沢自然教室
西丹沢自然教室8:35→9:00用木沢出合→10:15犬越路10:30→11:55大群山12:35→13:35加入道山13:40→13:55白石峠14:00→15:10用木沢出合15:20→15:45西丹沢自然教室
西丹沢自然教室16:20⇒(富士急湘南バス)⇒17:45小田急、新松田駅