#139 2006/11/22(水) 雨山峠 950m → 鍋割山 1,273m → 小丸 1,386m
丹沢の鍋割山といえば、誰しもが後沢乗越から、或は塔ノ岳をからめて登る。人気の山は登山ルートが多い。地図を広げるといわくつきの登山ルートがある。寄(やどろぎ)沢を遡る鍋割峠コース。寄沢、又は玄倉渓谷から入る雨山峠コース。これらは、地図の上では赤い点線で描かれている。ユーシンの上流、オガラ沢コースから女性ひとりが登って行くのを見かけたことがあったが、これは地図では薄茶色の点線コース。いずれも踏み跡不明や崩壊地があり事故が絶えないという。
小春日和の朝、O君を誘ってバスの終点、寄で下車。同乗者は同年輩の人。僕らは寄沢から鍋割峠へ直接上るが、この人は雨山峠から鍋割山へ登るという。旅の始めは中津川に沿って舗装道路を歩く。この中津川の川下は酒匂川、上流は寄沢となる。晴天。遥か前方に見える紅葉の山並は、二年前に登った桧岳や伊勢沢ノ頭。面白味のない林道歩きも、赤い寄大橋が見えてくるとほっとする。季節外れの満開のマメザクラ。ここは、かながわ水源の森。寄、みんなのキャンプ場跡。
車止めゲートの横をすり抜けて、道標に従い杉林の山道を上る。鹿柵沿いに進み、堰堤を高巻いてから寄沢に降りる。一昨日の降雨のため、かなりの増水。簡単には渡河させてくれない。水中の飛び石の具合を見て渡河点を探す。石に描かれた赤丸マーカーや、枝木に結ばれた桃色リボンが目印。これだけ多ければ進路を見失うことはあるまい。幾度も沢を渡り返し、沢沿いの林を歩く。雑木林の鹿柵に入る。足を止めて対岸を眺める。紅葉、黄葉、緑葉が山腹を鮮やかに染め上げている。
寄沢 | 寄沢を遡る、もう源頭部に近い |
梯子橋を渡って高さ5mほどの鎖場を上る。沢を離れて桧林から雑木林へ。標高800mを越えると、もうすっかり落葉した樹林帯となる。山腹のトラバース路が続く。鉄パイプで組まれた桟道を渡る。以前、二箇所の崖崩れ地点に架けられた、傾いた鉄製の橋が無い。荒廃した山道が補修されている。あのおじさんが追いついてきて、寄コシバ沢は随分前に通り過ぎたけど鍋割峠へ行かないの、と訊ねられる。えっ、出合を見落としちゃったのだ。戻るより、雨山峠から稜線伝いに鍋割峠へ計画変更。
立て札がある。<危険!これより雨山峠までは沢沿いの登山道です。荒天時には急な出水などがあり、大変危険ですので通行しないでください> ナメを水が静かに流れるゴルジェを過ぎると、もう寄沢の源頭。長い二つの鉄の階段を上り、三つの桟道を渡ると雨山峠。峠を下ればユーシン方面。西尾根は伊勢沢ノ頭への縦走路。白い空をバックに冠雪した富士。デジカメ写真には写るまい。いつの間にか曇り。振り返ると、三つ目の峰がガスに覆われてゆく。あれが鍋割山。
鍋割峠付近の稜線を上る | 鍋割山山頂 |
冷たい風が峠を吹き抜ける。鮮やかな緑のアセビを分けて、崩れやすい白ザレの急斜面を上る。葉の落ちた広葉樹の稜線。同角ノ山稜から丹沢主稜の山並みがぼんやりと見える。ヤセ尾根から長い下りが始まる。キレットの先は鎖場の上り。ぼろぼろと崩れる花崗岩、要注意。ヒバの木の尾根上に茅ノ木棚沢ノ頭。この辺りが雨山峠と鍋割峠との中間点。二つ目の鎖場の急斜面、鎖を掴んで降りる。上り返す鎖場。斜度はさほどではないが、鎖にしがみつく腕がくたびれるほど長い上り。
尾根道も広くなり、ブナの落葉を蹴散らして下ると鍋割峠。<寄方面、滑落注意>の立て札が立つ。その先はブナ林の中に消えている。また立て札がある。<この先、崩壊箇所あり、通行厳重注意> 丸木で土留めした登山道のすぐ左は崩壊地。左方の山並がよく見える。蛭ヶ岳、棚沢ノ頭、丹沢山、塔ノ岳。前方に鍋割山が聳えている。あと200m、苦しい上り。最後は枯れた草地を登る。もうひとつ立て札。<この先ユーシン方面、不明箇所あり。通行厳重注意> これがオガラ沢への降下点か。
鍋割山。山頂に集う数人の先客。南斜面から続々と上ってくる人達。単独行が多いようだ。太陽電池の脇を通って山荘へ入って行く人もいる。ここは980円也の鍋焼きウドンが名物。昼食をゆっくりと済ませると、もう下山するだけ。まず、小丸に向かって上る。霧の中から人が現れて、挨拶を交わすと霧の中へ消えてゆく。初めて降る訓練所尾根はアセビの森。標高800m位からは紅葉が始まる。丸木の階段もガレ場も少ないのが嬉しい。桧が増えてくると、もうじき二俣。いささかお疲れ。
晴のち曇り 日帰り 同行者=O君 歩行距離=15.5km 歩行時間=6時間40分
小田急、新松田駅7:13⇒(富士急湘南バス)⇒7:38寄
寄7:40→8:15寄大橋→10:10雨山峠10:20→11:20鍋割峠→11:40鍋割山12:30→13:05二俣分岐→14:15二俣14:45→15:50大倉
大倉15:55⇒(神奈中バス)⇒16:20小田急、渋沢駅