#134 2006/9/23(土) 月山 1,984m 日本100名山・花の100名山・東北100名山
民宿の親爺さんの話では、姥沢の豪雪はすさまじいと言う。あの山古志村の比ではないらしい。春先、姥沢に通じる山岳道路から除雪が始められると、道路脇には高さ10数mもの雪が積上げられる。ついで無人の民宿村から、埋もれた家屋を掘り起こし、スキーリフトを掘り出す。それでも吹雪いたら、一夜でまた家が雪で埋まってしまうという。リフトの手前でにこやかに迎えてくれるのは、環境整備費¥200也をぼったくる人。シロカンバの森を越えて、リフトは上駅に着く。
そこはもう一面の草地。普通の山地なら、高度を上げるに従って、シロカンバからカラマツ、オオシラビソ、そしてハイマツへと変化する。ところが針葉樹林を省略して、いきなり森林限界の笹原となっている。日本海気象の厳しい自然が作り出した偽高山帯。かくして、来年の月山スキー場は4月10日がオープン予定、夏スキーの最盛期は6、7月らしい。このスキー場にはゲレンデなんかない。姥ヶ岳山頂から、危険地帯の赤旗を越えない限り、好きな所をお滑りくださいとさ。
姥ヶ岳から月山までの尾根歩き | 月山山頂、月山神社本宮、避難小屋 |
見上げると、ゆるやかな山並みが続く。湯殿山、姥ヶ岳、月山。姥ヶ岳からの眺望は格別だよ。こんなに晴れた日には、佐渡島が見える、と民宿の親爺さんが言ったけ。リフトを降りたら、姥ヶ岳を巻いて月山へ向かう予定を変更して、先ず姥ヶ岳へ上る。木道からジグザグの坂道。上るにつれて草が黄色く色づいてくる。山頂付近にはいくつかの池塘がある。姥ヶ岳、標高1670m。南に樹海の中に志津温泉、月山湖。遠く雲海に浮かぶ蔵王、飯豊、朝日の山々。
三つほどの小ピークの先に、草紅葉の月山が聳えている。金姥という鞍部で北に鳥海山を垣間見て、牛首合流点で残雪を見る。月山をトレッキングするなら、石段を4時間かけての上り下りと心得よ。傾斜がゆるむと、木道や石畳が現れる。振り返れば姥ヶ岳から湯殿山へ、緑の稜線が続いている。心地よい朝風。しばし初秋の風に身体を委ねてひと休み。ここから山頂までは急坂。角の取れた岩の連なりを上る。時には岩に手をかけて這い上がりながら。
山頂広場は南北に細長い。なんと池塘がある。避難小屋がある。北側が騒がしい。折しも登頂した30名ほどのツアー客。小高い台地に、要塞のように石垣で囲んだ月山神社本宮。施錠された本宮、付属の建屋。このあたりが最高地点だが山頂標識がない。北の石垣を越えると一等三角点があるよ。ちょっとの間、姿を消していたO君が教えてくれる。花の季節ならば、恋の花、クロユリの群生が見られるのもこの辺りか。今はアザミだけが静かに咲いている。
オモワシ山、鳥海山を見ながら下山する | 弥陀ヶ原、その向こうには羽黒山、鳥海山 |
山頂の人の多さに辟易して下山する。月山八合目まで、紅葉と眺望の山下りが始まる。庄内平野は米どころ。その北に鳥海山。独立峰の裾野を大きく広げた山。西に、空との境目が判然としない日本海。あれは栗島か。北へ伸びるだらだら坂。油断のならない石段。木道や石畳になるとひと安心。紅葉した低木の間を下ると、右下に展開する月見ヶ原。緑の大湿原に黄色く赤く紅葉した草木に目を奪われる。それに、空の青さを映した池塘が見事な彩りを添える。
小さな仏生池のほとりに建つ参篭所。通り過ぎると眼下に湿原台地の弥陀ヶ原が見えてくる。ここにも大小の池塘、すっかり黄葉した草地、湿原を縫う遊歩道。鳥居をくぐって御田ヶ原参篭所。昼食。月山八合目で僕らの山旅は終わる。いえいえ、旅はまだ終わらない。眼下に市街が見えるのに、路線バスは羽黒山山頂に寄り道して、2時間もかけて鶴岡駅着。ちなみに、羽黒山、月山、湯殿山を出羽三山という。日本海に夕日が沈む帰り途。とても遠い月世界。
快晴 同行者=O君
9/22(金)
山形、山交ビル16:05⇒(庄内交通、高速バス)⇒16:45西川BS17:00⇒(西川町営バス)⇒17:46姥沢 (民宿泊)
9/23(土) 歩行距離=8.9km 歩行時間=4時間10分
姥沢7:00→7:10下駅
下駅7:15⇒(月山ペアリフト)⇒7:25上駅
上駅7:30→7:55姥ヶ岳8:00→8:25牛首8:30→9:20月山9:35→11:35仏生池小屋→12:00弥陀ヶ原12:15→12:20月山八合目
月山八合目13:00⇒(庄内交通)⇒15:05JR鶴岡駅前