#133 2006/9/22(金) 熊野岳 1,841m 日本100名山・東北100名山
御釜見たさにひきもきらぬ観光客。そんなに見たけりゃTVのバラエティ番組が手っ取り早い。オカマの指定席。ゲイは身を扶すける。らくちん100名山なる番付表がある。1位は勿論筑波山。7位が蔵王山。なにしろ、刈田(かった)岳山頂までは無料道路が通じている。さて今日は、宮城県から上って山形県に降りる。路線バスは澄川に流れ落ちる三階ノ滝で見物停車すると、またガタピシ音をたてながら蔵王エコーラインを上る。森林限界を超えると尾根筋を走って大黒天。
大黒様は見つからないが、赤い衣を纏った4体の地蔵が鎮座する登山口。2本づつ丸木を束ねた階段を避けて、不心得にも階段脇のザレ場を緩やかに上る。やわらかな秋の日差し。野草にススキ、まばらな低木。右側は深くえぐられた渓谷、御釜を水源とする濁川(にごりかわ)。荒々しい絶壁の上方には外輪山の五色岳と熊野岳。なかなか迫力のある景観。剣ヶ峰のガレ場を過ぎて、また石段や木段を黙々と上る。行く手に刈田岳、右に御釜が見え出した。
濁川の源頭部 | 御釜 |
刈田岳から熊野岳直下までは、馬ノ背という山頂台地となっている。ケルン、避難小屋、蔵王山メートル指導標と彫られた山頂標識。遭難慰霊碑。伊達公の石碑。それに堂々とした造りの刈田嶺神社。何か面白い物はないかと右往左往する観光客。南方面の眺望がいい。南蔵王の後烏帽子岳、杉ヶ峰、屏風岳。雲海に浮かぶ吾妻連峰、磐梯山。エメラルドグリーンの御釜を観光写真もどきに撮り終えると、馬ノ背大通りを熊野岳へそそくさと向かう。
真正面の熊野岳避難小屋まで、高さ数メートルのポールが続いている。熊野岳から刈田岳へ降るスキーコースの目印だという。ポールに沿って進むと、避難小屋直下は急斜面のガレ場。汗して上って熊野十字路。東は北蔵王への縦走路、北が地蔵山、蔵王温泉方面、すぐ西が熊野岳山頂、下ると坊平高原へ。熊野岳は蔵王山の最高峰。山頂は大きな火山岩が散在する広場。茂吉の碑、熊野神社、山頂標識。はるか北、雲の上に頭を出す月山、右に鳥海山。
熊野岳山頂 | イロハ沼、右後方が熊野岳 |
手頃な岩に腰掛けて秋空の下で山飯を食う。山頂から目を凝らすと、丸印と温泉マークが白ペンキで火山岩に描かれている。火山岩帯を下るこのショートカットは今日唯一の難路。鞍部はワサ小屋跡。直進すれば地蔵山、ゴンドラ山頂駅への分岐点。左折して、なだらかな地蔵岳の巻き道を降る。敷石と砂礫の山道は草と低木に囲まれるようになる。黄ばんだ草木、リンドウの群生。見上げれば熊野岳の北面は険しい山肌を晒している。やがて木道を歩いてシラビソ林に突入する。
イロハ沼は周りを樹林に囲まれた高層湿原。点在する池塘、黄色く色づいた草。初夏ならばお花畑。誰ひとり居ない山上の別天地。曲がりくねった木道。ベンチ。茂吉の句碑。シラビソの梢の上に熊野岳が見える。イロハ沼から観松平へ。姿見のいい五葉松には王将松をはじめ、いろいろな名前が付けられている。樹林が割れてスキー場、ユートピアゲレンデに出る。まだ歩き足りないが、揺れてリフトの人となる。ダケカンバの緑の森を越えて。無事に歩き終えた安堵感を乗せて。
快晴 日帰り 同行者=O君 歩行距離=8.8km 歩行時間=2時間45分
JR白石蔵王8:42⇒(宮交仙南)⇒10:15大黒天
大黒天10:20→11:10刈田岳11:25→熊野十字路→12:05熊野岳12:50→13:10ワサ小屋跡→13:45イロハ沼13:50→14:00ユートピアゲレンデ
ユートピアゲレンデ14:05⇒(リフト)⇒14:10樹氷高原14:20⇒(蔵王ロープウェイ山麓線)⇒14:30蔵王山麓
蔵王山麓駅14:30→14:40蔵王温泉
蔵王温泉15:20⇒(山交バス、特急)⇒15:55山形、山交ビル