#131 2006/8/4(金) 四阿山 2,354m 日本100名山・信州100名山→根子岳 2,207m 花の100名山
長い梅雨も唐突に終わって夏本番。暑い平地を嫌って涼しい山へ集まる赤とんぼを追いかけて、四阿山から根子岳へ登る。群馬県吾妻郡嬬恋(つまこい)村から上って、降りは長野県菅平へ。温泉地から避暑地へ。吾妻とか嬬恋とかは気になる地名。嬬恋村のHPによると、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の帰路、弟橘媛(おとたちばなひめ)を悼んで、吾嬬(あづま)はや
へろへろ、と詠んだ故事だという。また、四阿とは、四つの柱に屋根を載せただけの建物のこと。
シラビソやシラカバの林を越えて、ゴンドラ、パルキャビンは四阿山と浦倉山とを結ぶ稜線を目指す。日本一短い路線を運営する紀州鉄道が、関東一長い3.2kmのロープウェイの親会社とか。山頂駅が稜線歩きの出発点。もう、ここは標高2050m。これから上信国境を南下する。四阿山への登山ルートのうち、最短2時間で登頂できるらくちんコース。浦倉山から四阿山、根子岳への稜線はカルデラ火山の外輪山。噴火口を右に見て、外輪山を右回りに半周することになる。
林床のササを分け、シラビソやツガの林に入る。眺めの良さは、四阿山の山頂だけではない。樹木が途切れる度に視界が広がる。東に上信国境の山、志賀の山。光るバラギ湖の向こうに噴煙たなびく浅間山。平坦な山道は、足にやさしい土の道。木道もある。四阿山からもう降りてきた元気家族。ついで、疲れて無口な老夫婦。雲ひとつない晴天、夏の日差し。林立する立ち枯れのシラビソ。濃いオレンジ色のコウリンカ、大柄なコオニユリ。ウグイスが鳴き、赤トンボが舞う夏の日。
浦倉山、真後ろは横手山、右は本白根 | 四阿山から浅間山を望む |
茨木山分岐からは急坂、最後の鎖場を上る。四阿山は双耳峰。あっけなく北峰に登る。足下の草むらに埋もれて、ともすれば見落としがちな二等三角点と小さな仏像がある。樹木の間からササに覆われた根子岳がはじめて姿を現す。前方、シラビソの樹上に鋭峰が見える。あれが四阿山の最高点、南峰だ。キレットに降りて鎖場の露岩を攀じ登る。南峰は細長くて狭い山頂。岩峰の中央に山頂標識。ケルン、小さなベンチ。群馬県側を向く石造りと鉄製のふたつの小社がある。
山裾から吹き上げる涼風に寛ぐ数人の先客が居る。僕らは木陰を探して昼食。さすが展望の山、全方位見渡せるパノラマ。東側には志賀、白根山。浅間山、高峰高原。北側には妙高、飯綱山。西側には北アルプスが望める。山なす山。下方に菅平高原。牧場、スキー場、ゴルフ場。ヤセ尾根の山頂の先にも長野県側を向く同じような二つの祠がある。腹拵えも済んで出立の刻。根子岳までは300m降って170m上ることになる。歩いて楽しい木段を下り、木道を歩くのは初めだけ。
十ヶ原(大スキマ)から根子岳 | 根子岳、後ろは四阿山 |
鬱蒼としたツガ林は油断できない急斜面。濡れた岩、滑る土、木の根。樹林を出ると十ヶ原、別称大スキマ。風が鞍部を吹き抜ける。樹木が育たず、ササだけが生育する場所。胸までも伸びたササは足元を隠し、一再ならず蹴つまずく。風に吹かれてひと休み。愛らしいヤナギラン、ヒメシジャン、ノアザミ。さて、根子岳への稜線をジグザグに上る。行く手を阻む屏風岩。爆裂火口の最上部だという。岩の下に咲くミネウスユキソウ。露岩をすり抜け、這い上がると円頂はすぐそこ。
根子岳。露岩のハゲ山広場には、丁寧に積み上げられた石の上に石祠。そこに山頂標識。四阿山に負けず劣らず好展望。夏の山を遠望する3人の先客が居る。登山客数カウンターなる代物がある。南西の方向に、森を通り抜けて菅平市街に至る一直線の道がある。あれが下山路。話は飛ぶが、FIFAワールドカップ決勝戦。マテラッツィの挑発にはめられたジダンが報復の頭突き。レッドカード、一発退場。何て言われたか知ってるかい。本当はね、ハゲっていわれたんだって。
下山路は土の道から浮石のガレ場に変わる。歩き始めて10分、シラカバ林に入る。明るい雰囲気。ここかしこに花も咲く。時折、下方の牧場が覗く。草を食む牛の群れ、前足を折って休む牛。クロマメノキ採集禁止の立て札がある。もう色づいたナナカマドがある。全身汗まみれで牧場管理事務所。後は照り返しの激しい舗装道路、一本道。おいしい牛乳の幔幕を横目で睨んで先を急ぐ。すると、嬉しいことに、マイカーが止まって乗せていただいた。ありがとう、ご夫婦。あばよ、根子岳。
快晴 日帰り 同行者=O君 歩行距離=8.2km 歩行時間=4時間5分
JR万座・鹿沢口駅9:07⇒(タクシー)⇒9:27パルコール嬬恋リゾート
山麓駅9:30⇒(パルコール嬬恋ゴンドラ・パルキャビン)⇒9:45山頂駅
山頂駅9:50→11:00茨木山分岐→11:20四阿山北峰→11:25四阿山南峰12:00→12:45十ヶ原12:50→13:30根子岳13:50→14:55菅平牧場管理事務所
菅平牧場駐車場15:00⇒(マイカーに乗車)⇒15:10天狗
天狗15:46⇒(上電バス)⇒16:40JR上田駅