#130 2006/7/8(土) 早池峰山 1,917m 日本100名山・花の100名山・東北100名山
はやくちねーと花が見られないよ、と山が呼ぶ。ハヤチネウスユキソウ見たさだけに登る人もいる。早池峰山。北上山地の主峰。侵食された奇岩の山。花の名山。だけどねえ、アクセスが悪い。盛岡からの季節運行バスが岳集落に到着すると、道の真ん中に旗を持ったおじさんが立っている。登山客によるオーバーユースのため、一般車を入山規制している。この先は定期またはシャトルバスのみ通行可。若い女性運転手に命を託して、バスは緑濃い山あいの道を上って行く。
河原坊登山口。グリーンボランティアの腕章を巻いた人が待ち構えている。早池峰マナーガイドというパンフレットを渡される。ついで、携帯トイレを奨められる。600人も登録されているというボランティアの主な活動は、高山植物保護と、し尿たれ流しの防止らしい。登山道はコメガモリ沢に沿った山道歩きから始まる。気持ちのいいシロカンバの木立、うぐいすの鳴き声、岩を噛む水音。夏の日差しが降り注ぐ。はるか上に、雲が流れる早池峰山の岩峰が見える。
ハヤチネウスユキソウ | 御坐走り |
沢沿いの道から沢を渡る。5mほどの渡渉は、水から頭を出している岩を跳んで渡る。二つ目はロープが渡されている。都合4つの渡渉、なかなか面白い。5つ目は渡りきらずに、そのまま沢をつめて上る。いつの間にか水は伏流となり、河原変じてガレ場となる。森林限界も越えて頭垢離(こうべごうり)と呼ばれるところ。振り向けば下方から上る人の列。緑の樹海の先に薬師岳。立ち止まって傍らをみれば、おや、ミネウスユキソウにハクサンチドリが咲いている。
岩陰にハヤチネウスユキソウが咲いている。こっちにもあっちにも。気が付くと、ロープで規制された立入り禁止区域を登っている。O君の呆れ顔。早池峰山は蛇紋岩の山。蛇紋岩地には特有の植物が生育する。そういえば至仏山も谷川岳も蛇紋岩の山。山名を冠したハヤチネウスユキソウは、アルプスの名花エーデルワイスに一番近い種らしい。暖かそうな綿毛の花びらは花ではないそうな。苞葉という葉っぱなんだって。中央の黄色い部分が花だという。
ど根性大根がいつぞや話題になったが、高山植物もたいした根性の持ち主。岩の割れ目に咲く可憐なイワウメ、小さくて黄色いオオバキスミレ。ハイマツの群生。ここは御座走りと呼ばれるところ。上りは苦しく、降る人もうんざりの露岩帯の急斜面。奇岩の打石(ぶついし)で何度目かのひと休み。霧の中を遊泳していた天狗が頭をぶつけたという岩塊。その上方に高さ5mほどの一枚岩の鎖場を上る。大岩の右側に巻き道があるが、経験上鎖を上ったほうが楽なのよ。
早池峰山山頂 | お田植場 |
早池峰山頂。早池峰神社奥宮に避難小屋。トイレと書かれた小屋、実は携帯トイレの使用場所。トイレの使い方を指導しているイエローボランティア。ご苦労さま。山頂に白いガスが流れる。もとより展望は望むべくもない。昼食を摂る20名ほどの先客がいる。僕らも大岩に腰掛けて昼食。追い払っても寄ってくるハチとブユ。時間を確認する。予定よりも1時間半も早い。山頂でゆっくり過ごしたいが、ガスが濃くなってくると落着かない。休憩時間を切り上げて下山の準備にかかる。
賽ノ河原、お田植場というお花畑の木道を歩く。矮小のシラビソやハイマツの間に咲くイワカガミ、ミヤマシオガマ。また始まる積み重なった岩の道。浮き石と落石にご用心。8合目、巨岩を降る2段の鉄梯子。緩斜面の梯子は降り難い。傾斜が緩むと竜ヶ馬場。大岩の御金蔵。足元に咲くリュウキンカを見ながらひと休み。岩礫のハイマツ地帯を分けて行くと、あれっ、雨が。人を追い越し追い越され、1合目のオオシラビソやシロカンバの樹林帯に駆け込む。小田越はもうすぐよ。
晴のち雨 盛岡に前泊 同行者=O君 歩行距離=5.2km 歩行時間=3時間55分
盛岡駅6:50⇒(岩手県交通)⇒8:35河原坊
河原坊8:40→9:40頭垢離9:50→10:30打石10:35→11:10早池峰山11:55→12:35御金蔵→13:20一合目→13:35小田越
小田越15:00⇒(岩手県交通)⇒16:45盛岡駅