刈込湖かりこみこ

116 2005/10/20(木) 刈込湖 ← 切込湖 ← 山王峠 1,739m




夏は去り、長雨が続いて肌寒い毎日。今日は久々の晴天、もみじ狩り日和。秋に向かって、日光を駆け上がる東武バス。光徳温泉で下車。アストリアホテルを後にして、黄葉のミズナラ林を歩く。案内板がある。<光徳周辺は、昔は楢林と呼ばれていたそうです。ミズナラは奥日光にはとても多いのですが、なぜか山の斜面には少なく、光徳のような平なところに林を作っています> 飛び交う虫も鳥のさえずりも今はなく、落葉を踏みしめる音だけが響く。秋の音、秋の匂いがする。


丸木で土留めした急坂をひたすら上る。欝蒼としたツガ林は明るいダケカンバ林に変わる。案内板がある。白っぽい木肌をした木は、シラカンバと似ていますが、シラカンバではなくダケカンバです。日光あたりではダケカンバは標高1500m以上の亜高山帯に生え、シラカンバは10001500m位に生えるので、この付近(1600m)はダケカンバ林、光徳付近(1500m)ではシラカバ林になります。どちらも日当たりの良いところが好きで、日陰になると衰えます>


山道の傾斜がゆるむ。急に視界が開けて山王峠。笹原に数脚のベンチ。すぐ脇には奥鬼怒林道が走る。右手は山王帽子山、太郎山への登山口。左下へ、濡れた岩を100mほど下ると景勝の涸沼。<振り返り、湖沼の背景(北側)にあるのが於呂倶羅山(標高2020m)です。オロとは日陰、クラとは岩場を意味します。林道越しに東に見える山は山王帽子山(標高2077m)。溶岩円頂丘と呼ばれるタイプの火山で、帽子のような山頂を形成しています> 共に、紅葉の山肌。


出発は光徳温泉

山王峠、山王帽子山


<ここは水が溜まっていない凹地で、レンゲツツジやズミなどの木の花や、高山植物の花園です。しかし最近はシカによる食害のため、草花はめっきり少なくなってきました> 植生保護のため、ぐるりと柵をめぐらし、南側から西側への歩道を歩く。西側にいくつものベンチがある。沼の周囲には、黄葉のカラマツが美しい。休憩、そして昼食。<紅葉は、普通とは逆に、山の下の方から色づき始めます。すり鉢状の地形のため、冷気が低いところに溜まるためと考えられます>


涸沼から三岳の北側を歩いて切込湖。小さな岩を越えるツガ林の道。<このあたりは常緑樹が薄暗くなるほど茂っています。長細い米粒のような葉のコメツガが多いのですが、この木はマツ科に属し、マツヤニを出すため、あたりはプーンと木の香りがします> 光る湖面が見える。<南側にある三岳の噴出物が沢を堰きとめて出来たのが切込湖と刈込湖です。この両湖は繋がっていますが、水の流れ出る沢はありません。多分地下に吸い込まれていると思われます>


涸沼、於呂倶羅山 刈込湖


歩道からは降りられない切込湖を横目に、白い砂浜の刈込湖に下りる。佇む数組のグループ。紅葉の山と秋の青空を映す湖。昔、このあたりに大蛇が住みついて村人たちを苦しめているという話を聞いた日光開山の祖、勝道上人。早速、大蛇退治に向かい、そして大蛇を切り殺して湖に沈めたといいます。名前の由来にはこんな伝説が残っています> 刈込湖から、重なる岩と12もの木段を上る。濡れた岩を降りてくる老夫婦。先に下りて奥さんを気遣う亭主。


ツガの森はどこまでも続く。<ここは、コメツガの遺伝資源を自然生態系内に広範に保存することを目的とした森林です。人手を加えずに自然の推移にゆだねた保護、管理を原則としています> つまり、手抜き、何もしないってことか。<道の両側には、ヒノキを大きくしたような葉の木が沢山見られます。これはヒノキの仲間のアスナロです。亜高山帯の湿り気のあるところに自生します。アスナロとヒノキの中間の大きさの葉を持つ木はネズコ(クロビ)です>


歩き易い平坦な道から下りになると、黄葉の広葉樹林になる。小峠。<丸い葉をつけている木はカツラ(桂)の仲間のヒロハカツラです。谷間に多い木で、秋、葉が黄色に色づくと甘い香りをあたりに撒き散らします> 湯元温泉着。帰りのバスは始発、乗り残される心配はない。湯ノ湖で満員札止め。今日は上り1時間半、下り2時間。ついでに、上りのバスは、JR日光駅前で乗るとよい。紅葉は竜頭ノ滝から上。中禅寺湖畔は色づきはじめ。例年より、2週間ほど遅いらしい。


快晴 日帰り 単独行 歩行距離=8.1km 歩行時間=3時間

東武日光駅836⇒(東武バス)⇒950光徳温泉
光徳温泉1000→1055山王見晴→1120涸沼1150→1215切込湖→1230刈込湖1235→1305小峠→1335湯元温泉
湯元温泉1400⇒(東武バス)⇒1615東武日光駅