澁海、東京パフェを食う!!
「そして、二人目・・・・・ 編」


2001年6月17日。
ついに2人目の犠牲者が出てしまった。


事の始まりは6月16日深夜に「#shibumi:*.jp」(*注)で行われた会話だった。
その日は、澁海と忍がチャットに入っていた。
と、澁海の一言。
「なあ、びっくりびっくパフェに挑戦しない?俺がおごるからさ」
「挑戦する」
忍は2つ返事で了解した。
かくして、忍の挑戦が決定した。
この澁海のおごるという言葉が、好意なのか罰ゲームなのか
後に忍は思い知ることになる・・・・・

翌17日。澁海宅に「東京パフェ斬り屋」が集結した。
言わずと知れたパフェ斬り屋会長にして斬り込み隊長「澁海」。
もっとも多く澁海とパフェを食べているパフェ斬り隊員「忍」。
パフェ斬り屋のブレインと呼ばれる男「もじゃ」。
生クリームが苦手で食べないが、もっともパフェ情報をもたらす「たんく」。
昨日の今日の召集で全員そろうとは、さすがパフェ斬り屋である。
そして午後7時。
「いくか」
パフェ斬り屋たちは、澁海宅を出発した。
電車に揺られること十数分。
目的地「アジアの台所」に到着した。
席についた4人のもとに店員が注文をとりにくる。
「びっくりびっくパフェ」
まずはこれを頼まなければ始まらない。
続いて、
「この[ナンとインドカレーソース]と・・・・」
澁海、もじゃ、たんくの三人が思い思いの注文を始める。
そう、今日の挑戦者は忍だけなのである。
「むむぅ・・・・」
忍がうなるが、3人は構っちゃいない。
注文してしばらくののち。
時間のかかるパフェを差し置いて、
3人の注文した料理がどんどん運ばれてくる。
「うんうん、うまいうまい」
来た料理をおいしそうに食べる3人。
「も・・・もらっていい?」
忍が言った。
「やめとけ。今食っちまえば、お前・・・・・・死ぬぞ!!」
その忍を澁海が制した。
唯一びっくりびっくパフェの恐怖を知っている澁海には分かっていた。
今誘惑に負けて食べることが、どれだけ危険であることか。
その澁海の気持ちを察してか、忍も出しかけた箸を引っ込める。
(・・・・ふ、賢明な判断だ)
澁海は心の中でそう呟いた。
さらにしばらくのち。
ぱふぱふ。
澁海の耳に、聞き覚えのある音が聞えてきた。
シュパパパパパパ。
花火の燃える音。
「お、おお?おおおおおおおおおおお?!!!」
澁海以外の3人が、狂気にも似た歓声を上げた。

挿入歌「やってきましたびっくりびっくパフェ」
響き渡るぜ、効果音。
炎放つぜ、2つの花火。
妙にテンション高くして、
店員そいつを持ってきた。
(*)Oh!!YES!!
そいつは、パフェだ。
Oh!!YEAH!!
花火2本ささり。
Oh!!NO!!
ちょっとでかすぎだ。
Oh!!MY GOD!!
さよなら、人生。
(*)繰り返し
(*)繰り返しでフェードアウト

忍の前にそのパフェが置かれた。
相変わらずのでかさである。
ふと横を見ると、忍が声を失っていた。
写真では伝わらない、その威圧感、恐怖感を体感しているのだろう。
「こ・・・こんな」
搾り出すような声で、忍が言った。
「さあ、がんばってくれ」
澁海が忍に声をかけた。・・・・・鳥の唐揚げを食べながら。
「がんばってね〜」
もじゃとたんくも唐揚げを食べながら言った。
見ているほうは、いたって気楽なものである。
「く!!やるか・・・・」
そして忍は食べ始めた。
その絶対的な敵の強さを、体感しながら・・・・・・

1時間後。
「・・・・・・きゅ〜」
忍は・・・・瀕死の重傷になっていた。
目の前の器には、澁海の2倍以上のパフェが残っていた。
と、忍が何か呟いた。
「このカステラ・・・・・反則だよ」
やはり忍も、最強の敵であるカステラにやられていた。
「ここまでか・・・・」
横で澁海が冷静なまなざしで呟いた。
食べてないから、当然ではあるが。
「もうだめなの〜?」
もじゃとたんくが言う。
・・・・やっぱり見ているほうは気楽であった。
「これで、二人目・・・か・・・・」
澁海は、このどうしようも出来ない現実に、
この屈辱的な敗北に、拳を握り締めていた。
勝てないパフェ斬り屋。
そんなものに意味はないのだ。
「じゅん、早く来てくれ。こいつに対抗できるのは・・・・
お前しかいないんだ・・・」
澁海は、じゅんが遠く北海道の地にいることを恨めしく思った。
・・・・・
「とりあえず、あまったのは食ってやるよ」
と、あっさりと頭を切り替えて残ったパフェを食べ始める澁海は、
やっぱり見ている側・・・・・
気楽なものであった・・・・・・



補足。
前回、パフェの中に入っているカステラを「禁忌の秘法」と表現しましたが、
ここに訂正いたします。
フルーツ、アイスクリーム、コーンフレーク、カステラの絶妙なバランスは、
すばらしい味を引き出しており、非常においしいものでした。
・・・・・少量であれば。


*注:「#shibumi:*.jp」
澁海が開いているIRCのチャンネル。
夜に入るといる可能性があります。
澁海のほかにも、じゅんや忍がいることもあります。


「前より量が減ってるぞ!!」(澁海談)

「カステラは反則だ」(忍談)
「残しすぎだろ!!」(澁海談)


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