前回のあらすじ
「夏は近いな」澁海は呟いた・・・・
・・・では、本編をどうぞ。
それは、最強の敵だった。
そして、澁海は初めて敗北の苦汁をなめることになった・・・・
その日の敵は、忍と共に戦いに望んだ。
それは忍がゲットした敵情報で、
澁海は忍に案内される形で敵の元へ向かう。
そこは、新宿の某ビルの地下「飛騨の高山ら〜めん」だった。
入り口の手前にあるガラス張りで、
とりあえずウィンドウパフェをしてみる。
と、その澁海の目に入ってきたもの。
「な、なんじゃこりゃ〜!!」
で、でかい!!でかすぎる!!
いや、でかいなんてもんじゃない!!
それは、なんというか・・・・・でかい!!
・・・・・・
あまりのでかさに動揺しながらも、席に座り、二人は頼む。
「びっくりパフェを」
「びっくりパフェとラーメンを」
(む、こやつあれを見ても怖気づいていないというのか?!)
パフェだけ頼んだ自分に対して、ラーメンまで頼んだ忍に、
澁海は心の中で感嘆の声を上げた。
「パフェはラーメンの後ですか?」
店員の言葉に、
「一緒に」
そう答えたのは澁海だった。
しばしの後、ラーメンがやってきた
しかしパフェはまだくる気配がない。
さすが「あの」大きさだけあって作る時間もかかっているのだろう。
澁海の目の前では忍が、ラーメンを汁を残して食べ終わったところだった。
「お下げしましょうか?」
「いえ、まだいいです」
店員の言葉を、忍は一言で制した。
「どうする気だ?」
「なにせ、「あの」量だからね。
口を暖めるためさ」
「ふ、流石パフェ斬り屋の一人。
やるな」
「会長であるあんたにゃ勝てないさ」
二人はお互いに実力を認め合い、
笑みを浮かべた。
そしてさらにしばしの後。
ついに・・・・・そいつはやってきた。
「飛騨の高山ら〜めん」名物、
最強の敵、
1500円(税別)、
「
びっくりパフェ」!!
「ぬお!!!」
実物のびっくりパフェから受ける迫力は、
ウィンドウパフェとは比べ物にならなかった。
いや、それはすでに迫力という言葉で収まるものではなかった。
それは見るものに全ての負の感情を与えるかのようだった。
恐怖、悲しみ、苦しみ・・・・・・・
そしてそれを全て飲みこむかのような、絶対的な「絶望」。
バリー「What's this ?! (なんだ?!こいつは?!)」
ジル「It's a monster !! (怪物よ!!)」
まさにそれは「ぱふぇ・はざ〜ど」。
ベースはアイスとフレークの3重奏。
しかも一番上の段のフレークにチョコフレークを使うという、
きめ細かな配慮。
その3重奏の上に、三角形を描くよう配された、
バニラ・チョコ・抹茶の三つのアイス。
三角形の隙間を埋めるように配された生クリーム。
可愛く乗って、食するものを魅了する
ウサギカットの林檎。
さらにバナナ、チェリーも当然のように乗っている。
そして、全体を引き締めるように掛かったチョコ。
これを聞くだけならば、「なんだ、普通のパフェじゃん」と
思うかもしれない。
しかし、それはパフェよりも甘い考えである。
そいつは・・・・・・規模が違うのだ。
通常のパフェの約2431倍!!(当社比)
総カロリーは12754kcal!!(当社計算)
その量は5人分はあろうかと・・・・
いや、実際はもっとあるかもしれない。
とんでもないでかさなのだ!!
入れ物は、幅16センチ以上。
高さは25センチを超える大きさである。
「まぢ・・・・かよ」
澁海は驚きにうめく。
「こ、こんな・・・・」
忍もショックを隠しきれない様子だった。
「・・・・・やるか」
恐怖を振り払うように、澁海は言った。
「ああ」
忍も答える。
そして、彼らの戦いが始まった・・・・・
6分1秒後
「食い終われるか!!」
10分経過
「結構すすんだ?」
「1/4はいったかな?」
25分経過
「やっと半分くらいか・・・・・」
「口があめ〜!!」
「ぬお!!ラーメン汁の塩分がめちゃくちゃうめ〜!!」
30分経過
「ぬお!!ニキビが〜!!」
35分経過
「・・・・進まん・・・」
「隊長、スプーンを持つ手が震えます・・・・」
「負けちゃだめだ!!」
40分経過
「ぐお!!・・・・この甘いにおいはツライ・・・・」
「隊長、身体の調子が変です・・・・」
「負けちゃだめだ!!」
45分経過
「アイスが液体に・・・・・」
「隊長、背筋が痛みます・・・・」
「負けちゃだめだ!!」
50分経過
「あ、甘い。甘すぎる・・・・・・」
「隊長、もうだめです・・・・・・・・・」
「負けちゃだめだ!!」
55分経過
「忍、寝ちゃだめだ!!寝たら死ぬぞ!!」
60分経過
「すみません。お茶ください・・・・・」
61分経過
「すみません。お茶・・・・・」
62分経過
「お茶ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
65分経過
「隊長、こっちはなんとか・・・・終り・・・・・・」
ばた・・・・・
「よ、よくやった忍・・・・・
全て食して死すとは・・・・・
あっぱれ!!」
70分経過
「俺のほうは終らん・・・・・
パフェマナーが裏目に出るなんて・・・・・
下へ食べ進んだせいで上にあったアイスが、
いまや甘い海に・・・・・・」
注)第二章 パフェのマナーを覚えよう!! 参照
75分経過
「こんなの・・・無理だ・・・・・」
80分経過
「無理・・・・・」
89分経過
ぷちっ。
「うお〜!!!!!!!」
ごきゅごきゅごきゅーーーーー!!
そして、90分後
「お、終った・・・・・・」
血だらけで立つ澁海の姿があった。
しかし・・・・遅かった。
60分を超えたため、姫はすでにいなかった・・・・・
注)プリンス・オブ・ペル○ャ 参照
「・・・・・・負けた・・・・」
敗因は明らかだった。
パフェマナーに重きを置きすぎ、自滅したその戦い。
「澁海よ・・・・・」
「その声はぱふぇ神!!」
「おぬしの敗因はパフェマナーだ。
おぬしは大容量パフェに対応出来るパフェマナーを知らなかった。
ゆえに少量パフェのマナーを用いて食べた。
それが大容量パフェに通じるわけが、あるまい。
腕を磨け、澁海よ。
世界屈指のパフェ斬り屋として・・・・・」
「パフェ神!!私はやります!!
もっと腕を上げて、今度こそあやつに勝ち、
姫を・・・・!!」
パフェ神の言葉に、澁海は自らの敗因を見つめなおした。
そして、次こそは姫を救いだそうと決心するのだった。
その後、次の日の晩まで何も食べなかったのは、
周知の事実である・・・・・・
<完>