『新古今和歌集』
★ 下線の引いて、<>内にカタカナを記したものは歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直したものです。
★ オレンジ色でリンクしてある語句は、単語説明がでます。
【本文】
花さそふ<ウ>比良の山風吹きにけりこぎ行く舟の跡見ゆるまで
(宮内卿 巻二 春歌下−一二八)
【現代語訳】
「湖一面に花びらが浮かんで、漕いで行く舟の跡が見えるほど、比良の山に風が吹き渡ったことよ」
【本文】
道のべに清水流るる柳陰しばしとてこそ立ちどまりつれ
(西行法師 巻三 夏歌−二六二)
【現代語訳】
「道ばたの清水が流れている柳の陰で、ちょっとだけ休もうと思って立ち止まったのだが、思わず長居してしまったよ」
【本文】
桐の葉も踏み分けがたくなりにけり必ず人を待つとなけれど
(式子内親王 巻五 秋歌下−五三六)
【現代語訳】
「桐の葉も踏み分けにくくになってしまったなぁ、必ずしもあなたのことを待っているというわけではないのに」
【本文】
駒とめて袖打ちはらふ<ウ>かげもなし佐野のわたりの雪の夕暮れ
(藤原定家 巻六 冬歌−六七一)
【現代語訳】
「馬をとめて、袖に降りかかった雪を払う物陰もない佐野の渡し場の雪の夕暮れよ」
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