係り結びの法則



【係り結びの法則】

「係り結びの法則」とは、通常、活用語(動詞・形容詞・形容動詞・助動詞)で文が終わるときには終止形で終わるのですが、古文では次に挙げる「ぞ・なむ・や・か・こそ」が文中にあるとき、文を終止形では終わらせないという特殊な文法です。その起源などはいろいろあるそうですが、それが用いられる一番の理由は、読みの流れにあると思います。ともあれ、以下の公式をしっかり覚えましょう。



以上が、「係り結びの法則」を図式化したものです。訳出については、強意・疑問・反語などの意味がありますが、一応それを踏まえて解釈できていれば、特に訳にあらわす必要はありません。

《例文》その煙、いまだ雲の中へ立ちのぼると言ひ伝へたる(『竹取物語』)
   「その煙は、いまだに雲の中へ立ち上っていると言い伝えている。」

この例文では、本来「たり」(完了・存続の助動詞)という終止形で文末は終わるはずなのですが、係助詞「ぞ」があるために、「たる」という連体形で文末を終止しています。

《例文》をりふしの移りかはるこそ、ものごとにあはれなれ。(『徒然草』)
   「季節が移り変わることは、何事につけても、しみじみとした情趣が感じられるものだ。」

この例文では、本来「あはれなり」(形容動詞)という終止形で文末は終わるはずなのですが、係助詞「こそ」があるために、「あはれなれ」という已然形(現代文法の仮定形のとことが古典文法では已然形になります)で文を終止しています。

★「こそ」の特殊用法

「係り結びの法則」は、基本的にそこで文は終止されるのですが、「こそ〜〜已然形」に限って、文の途中で逆接の意味を加えて下の句に続いていく用法があります。訳し方は逆接なので、「〜ケレドモ・〜ノニ」とします。

《例文》中垣こそあれ、一つの家のやうなれば、望みてあづかれるなり。(『土佐日記』)
   「隔ての中垣こそあるけれど、一軒の家のようなので、先方から望んで預かったのである。」

この例文では、係助詞「こそ」の結びに「あれ」(動詞の已然形)があり、そこで文を終止せずに下に続いていきます。それゆえ「あれ」からは逆接の意味が生じています。


以上が、中学で覚えてほしい「係り結びの法則」というものです。もちろん、もっと奥深いものがあるのですが、最低限この程度は頭に入れておいてください。